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働いて手に入れたものを

枕が合わない。
そのためか悪夢を見続けている。

ラジオで聞いて、藁にもすがる思いで購入した超高級枕。
小市民の私には、清水寺の舞台から飛び降りるくらいの値段。

高さが合わなければ商品を交換してくれるとの宣伝を見て、
クリスマス前に自分へのクリスマスプレゼントという言い訳をつけ、
ポチッと購入。

クリスマス前にその枕はやってきた。
高いお金を出したのだからという思いで使用するも、
悪夢を見続ける。「枕が合わない」という言葉が頭をよぎるも、
高いお金を出したのだからと思い、その現実に目をそらす。
その思いは、部屋の隅や電柱の影等、日常生活の中に見え隠れする。

やりすごすこと1週間、現実を認め、商品の交換を申し出る。

しばらくして、少し高めの枕が到着。
今度こそと行き込んで眠りの世界に飛び込むも。
今度は高すぎて、悪夢はみるし、肩も首も痛くなる。
次の日はと意気込むも、状況は変わらない。
次の日も次の日も。

最初に枕を手にしてから約1ヶ月。
残念ながらも返品を申し出るも、開封している場合は、
受け付けてもらえないという。

勇気を持って清水寺から飛び降りたけど、
無駄死にになったのかと思い、電話越しで粘るも玉砕。

三井寿並に諦めが悪いので、メルカリに出品することに。

メルカリはこれまで使ったことはあったけど、
アフリカ渡航前に軍人テスト済みの虫除けを購入したり
四畳半の大冒険の本を購入することしかなかった。

火事場の馬鹿力とはすごいもので、小市民的には大金をはたいて、
購入した枕のために、躊躇することなく、出品。

購入時からは、価格は下がったものの、無事購入いただき、胸を撫でおろす。

頭の中には、アレコード対象を飾った「働いて手に入れたものを」なっている。

枕さがしの旅はつづく。


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