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No.3 山内佑輔さん(図工の先生・ワークショップデザイナー)

◆山内先生は現在、VIVISTOP NITOBEで、新しい学びのあり方を図工の授業の中で実践されたり、放課後の子どもたちの活動をデザインされたり(https://note.com/uske1928/n/n2cb76e55b9fb)、地域と連動したプロジェクトにも複数関わり、子どもたちのクリエイティビティを育む環境や機会を多く作り出されています。かつては小学校の敷地の片隅で数十年放置されてきた区画を、森に再生させるプロジェクト(https://www.kyobun.co.jp/news/20191118_03/)をされたりと、型にはまらないそのスタイルは、子どもたちだけでなく、大人たちをも魅了してやみません。そんな素敵な先生はどうやって誕生されたのでしょうか!?

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◆山内先生が「教師」という職業に興味をもたれたのはいつ頃なのですか?

◇小学校6年生のときの担任の先生が、卒業式のときに泣いてくれたんですね。そのときに「先生って泣くんだ!?」と驚くとともに、「嬉しくて泣ける仕事っていいな!」と思ったのがきっかけですね。喜怒哀楽が表現できる仕事っていいなと思いました。オフィスのパソコンの前に座って、カタカタカタとやっているよりも、もっと自分は人間らしく自然に生きたいと思っていたんです。でもそれは小学生のときに思ったのか、改めて進路を考える大学生のときに思ったのかは、ちょっとあやふやなんですけどね。(笑)

◆「教師」になる前に「大学職員」というお仕事をされていたのですよね?

◇自分の大学が大好きだったし、縁あって、「大学職員」という仕事に就きました。人に恵まれたので、環境はすごく良く、様々な経験をさせてもらいました。今の自分に至るには、その「大学職員」時代の経験が欠かせなかったなと思っています。でも、今と違って、これは仕事ここからはプライベートと、はっきり分けるようなライフスタイルでした。

◆「大学職員」時代に、どんな経験をされたのですか?

◇大学では9年間働いていたのですが、5年目に異動を経験し、それまでとはルールも、考え方も、全く異なる業務を担当することになりました。仕事とプライベートが上手に切り分けられず、夜間や土日にも仕事をしているような状況もありました。異動する前年に息子が生まれて、家での時間を大切にしたいと思っていたので、自分のプライベートの時間を削られているような、圧迫されているように感じてしまったんです。少しずつ浸食してくるものに対して抵抗したり、ストレスを強く感じたりという精神状態になってしまいました。そのときは大学にいた臨床心理士の同期に相談することができたので、深刻な状態にならずに済んだのですが、仕事のモチベーションとしては全く上がらなかった。そんなときに、職場の先輩が「山内くんが持っている力が10あるとしたら、仕事は2で構わないから、残っている8の力で何か他にやってみなよ!」と声を掛けてくれたんです。それで、直前まで陥っていた自分の精神状態がすごく気になっていたので、心理学を学びたいと思い、「産業カウンセラー」の養成講座に通うことにしました。

◆「産業カウンセラー」から「教師」へはどう繋がっていったのでしょうか?

◇「産業カウンセラー」の養成講座では7ヶ月間、毎週2時間半、交代でカウンセラー役とクライアント役をやり続けるんです。そうすると、めちゃめちゃ自己分析が進むんですね。「いつかは教師になりたい!」という思いを持っていることは自分でもわかっていたのですが、なかなか行動できずにいたんです。それはなぜだろうという問いに、「なりたかったのは、小学校の先生だ!」「だって小学校の卒業式のときに先生が泣いてくれたじゃん!」と自分と対話して、自分の思いを掘り起こしていくわけですよ。「心の奥底では小学校の先生になりたかったけれど、その時点で僕は中高の社会科の教員の免許しか持っていなかったから、どうしても転職することに一歩踏み出せなかったんだ」ということに、そこで気付くことができたんです。それで産業カウンセラーとキャリアコンサルタントの資格が取れたタイミングで、小学校の教員免許を取るために、通信制の大学に1年半通いました。

◆自分の心の奥にあった思いに気づき、それを行動に移したのですね!

◇このときの自分を強く動かしたのは、「格好いい父親になりたい」という思いでしたね。そのころ息子が1歳ぐらいで、いつかこの子に進路とかの相談をされたときに、「夢を追いなよ!」て言いたいと思ったんですよね!でも自分が「小学校の先生になりたい!」と思っていたのに、それを選択せずに諦めたという過去があったら、何にも説得力がないじゃないですか。だから、なりたいと思っていた小学校の教員を目指そう!免許を取るために通信の学校に通おう!と一歩踏み出すことができました。

◆山内先生がよく言葉にされる「わが子に堂々としていられる大人でいたい!」というのは、そういう思いや経験から来ているのですね!?

◇はい。大人って自分がやっていないことを結構、平気で子どもたちに言うじゃないですか。しょうがない場合も多々あるんですが…僕は嫌だ!と思ったんですよね。
わが子に対してもそうだし、学校で関わる子どもたちにも、見せる姿は嘘なくありたいなと思うし、そうあれば大事なことは伝わるのではないかなと思うのですよね。そういう自分でありたいし、そうでありさえすれば変に格好つける必要もないし、教師という枠を自分にはめる必要もないし、演じることなく自然体で子どもたちの前にいられるという感じですかね。

◆山内先生のその思いは確実に伝わっていますね!

◇別に夢を追わなくても全然いいんですけどね。笑
でも、もし「どうしたらいいかなー」て相談されたときに、「夢を追っちゃいなよ!」「俺も夢を追ってみて、なんか今楽しいよ!」て言えたらいいなー!と思って、そう思いながら、今も子どもたちといろんなことに挑戦していますね。

◆山内先生のこれからはどういう方向に進んでいきそうですか?

◇どうなっていくんですかね!?(笑)
子どもたちの声を拾って、その子たちに合いそうな創造力を育む環境を設計していきたいという姿勢はこれからも変わりないと思うのですが、どうなっていくのかは全然わからないというのが正直なところかな。何が起こるのかわからない。わかってしまったら、きっと面白くないのだと思うんです。
仕事も含めて、僕の人生が、どう変わっていくのか、その変化というのは、絶対に人との出会いによるものだと思っているから、ここ(VIVISTOP)で沢山の人と出会えることが、今は楽しいですね。

◆これから山内先生がどんな出会いをして、どんな道を歩まれていくのか、予測できない未来を、わたしも楽しみにしています!!

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