プロジェクト・ドラゴンフライ グーグルが中国に提供しようとしていた検閲機能つきサーチエンジン
グーグルのプロジェクト・ニンバスの話をしたので、ついでに以前グーグルが中国に提供しようとしていた検閲機能つきサーチエンジンの話もしておこうと思う。
プロジェクト名はドラゴンフライ(Dragonfly)で2018年8月1日、The Intercept_がスクープした。このシステムは中国のグレートファイアウォールがブロックしているサイトを自動的に認識し、フィルタリングを行う。特定の言葉のブラックリストにも対応しており、検索に含まれる言葉によっては、まったく検索結果を表示しない。
また、検索内容と電話番号をリンクするようになっており、これによって容易に問題ある検索を行った個人を特定できる。アクセスに利用したデバイスのIPアドレス、クリックしたリンクなどの過去の履歴、位置情報なども参照できる。
さらに、検索システムのインフラは中国国内にデータセンターを持つ中国のパートナー企業のものを利用するという。つまり、ほぼすべてのデータが中国当局につつぬけとなる。
AndroidとiPhone向けのアプリが予定されていた。
ドラゴンフライに先立って、2017年にグーグルは北京に人工知能研究センターを立ち上げると発表。2018年5月には、中国向けにグーグルのファイル管理アプリをリリースした。さらにWeCha」上のゲームをリリースした。グーグルは中国進出に執着しており、そのためには悪魔に魂を売るつもりだったのだろう。
もっともグーグルの元CEOエリック・シュミットによれば、このプロジェクトは中国を「よりオープンにする」ことに役立つそうだ。もちろん、オープンというのは自由という意味ではなく、財布の口を開けるという意味だろう。
オープンという割りには、このプロジェクトはその規模の大きさに比べ、社内で極秘裏に進められており、セキュリティ・プライバシーチームのメンバーを会議に参加させないなどの措置を講じていた。社会的な非難を浴びることをやっている自覚はあったようだ。
このプロジェクトはグーグル社員の抗議と、社会的な非難を浴びて中止された。しかし、その後もグーグルはいつか中国に参入するために開発を継続していたことがわかっている。