一田和樹のメモ帳

広義の文筆家。小説家。明治大学サイバーセキュリティ研究所客員研究員。新領域安全保障研究所 UNVEIL。 https://ichida-kazuki.com 連絡先 https://ichida-kazuki.com/post/650695238157058048/

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マガジン

  • 民主主義の現在

    民主主義に関する資料や記事などを紹介します

  • デジタル権威主義

    デジタル権威主義についての情報を発信してゆきます。 当面は備忘録代わりにニューズウィーク日本版などに発表した記事の資料を掲載します。余裕できたらオリジナル記事を書くかもしれません。

  • 新しい世界の話をしよう

    これから起こり得ることにについて書いています。 ほとんどフィクションです。 おそらくいい意味でも悪い意味でも他では読めないものしかありません。 アパ日本再興財団の懸賞論文に応募するか、正論に寄稿しようと思うんですが、ダメですよね。

  • ファクトチェックを取り巻く課題

    ファクトチェックを取り巻く課題をビジネスなどの側面。特にパトロンとなっているフェイスブックやグーグルの問題点を取り上げています。

  • 余談ですが……

    日常的なものごとです

最近の記事

地経学研究所の「偽情報と民主主義:連動する危機と罠」を読んでみた

2024年11月20日に公開された地経学研究所の「偽情報と民主主義:連動する危機と罠」( https://instituteofgeoeconomics.org/research/20241120-summary/ )を読んでみた。 さまざまな資料やデータを元に、ハンガリー、米国、英国の事例研究を行い、その結果に共通するものを抽出し、日本の課題を整理している。 民主主義の後退など俯瞰した視点で世界的な傾向を整理したうえで各国固有の問題の掘り下げを行っており、独自の解釈や用語も

    • デジタル影響工作対策の転換点を示すISDの「Positive Online Interventions Playbook」

      イギリスのシンクタンクであるISDの近年の分析には目を見張るものがある。かつてアメリカのDFRLabなどが担っていた役割を引き継いだかのようだ。ISDには偽・誤情報やデジタル影響工作を社会全体への脅威ととらえ、脅威を排除するためには正しい状況把握と、対症療法ではない統合的な対策が必要という認識があることが他のシンクタンクと異なっている。 たとえばISDは偽・誤情報やデジタル影響工作のみに焦点を当てていない。国内外からの干渉の多くは国内問題を狙っている以上、原因となる国内問題に

      • 政治の分断が健康に害をおよぼすという論文

        健康は単なる医療の問題や生活習慣の問題ではなく、経済、教育、医療へのアクセスなど複合的な社会的要因に影響を受ける。医療行為や個人的な生活習慣に留まらない社会的要因が、健康状態という形で顕現しているのだ。 2024年10月25日に公開された論文「Political polarization and health」( https://doi.org/10.1038/s41591-024-03307-w )は、コロナ禍をケーススタディとして、この問題を整理、分析している。 政治的分

        • ロシアのデジタル影響工作についてのRecorded Futureの2つのレポートが気になる

          Recorded Futureの2つのレポート先日、Recorded Futureから2つのレポートが公開された。2024年10月24日の「Russian Strategic Information Attack for Catastrophic Effect」( https://www.recordedfuture.com/research/russian-strategic-information-attack-catastrophic-effect )と、2024年1

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        • 定期資料置き場
          24本
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        記事

          アメリカ大統領選で展開されたロシアのオペレーション・オーバーロード

          Recorded Futureは2024年10月23日に「Operation Overload Impersonates Media to Influence 2024 US Election」( https://www.recordedfuture.com/research/operation-overload-impersonates-media-influence-2024-us-election )を公開した。 オペレーション・オーバーロードは、偽・誤情報キャンペー

          アメリカ大統領選で展開されたロシアのオペレーション・オーバーロード

          偽・誤情報研究の現在を識者が整理してくれた

          偽・誤情報は、学問の自由、選挙、精神的健康などさまざまな課題に直面している。そのため、前回のnoteのような混乱も見られるものの、見直しを行うよい機会ととらえている識者も多い。 この論考「Misinformed about misinformation: On the polarizing discourse on misinformation and its consequences for the field The field of mis」は( https://do

          偽・誤情報研究の現在を識者が整理してくれた

          なぜ、メタアナリシスやシステマティックレビューをしないのか?

          先日、「Misinformation is a threat to society – let’s not pretend otherwise」( https://blogs.lse.ac.uk/impactofsocialsciences/2024/10/08/misinformation-is-a-threat-to-society-lets-not-pretend-otherwise/ )という論考が公開された。文字通り、偽・誤情報関連の調査研究を見直す動きに異議を唱え

          なぜ、メタアナリシスやシステマティックレビューをしないのか?

          世界初の偽情報対策プラットフォームの構築について理解が追いつかない

          「富士通と産学組織が9者で共創し、世界初の偽情報対策プラットフォームの構築を開始」( https://pr.fujitsu.com/jp/news/2024/10/16.html )という記事を読んでみたのだが、どうにもなにをやろうとしているのか意味がわからなかった。そこで、内閣府と経産省の「「偽情報分析に係る技術の開発」に関する研究開発構想」( https://www8.cao.go.jp/cstp/anzen_anshin/02-07_20231020_meti_5.pd

          世界初の偽情報対策プラットフォームの構築について理解が追いつかない

          偽・誤情報、デジタル影響工作と認知戦についてのメモ

          作戦の戦術偽・誤情報、デジタル影響工作、認知戦、誘導工作など情報を使って世論を操作、攪乱することの呼称はたくさんある。あくまで私見だが、その効果・影響は下記の3プラスおまけ1つになると思う。効果・影響は相手から見た場合は戦術となる。 1.既に存在している偏見、偽・誤情報、ナラティブを増強し加速する たとえば既にテーゲット国の国内に存在している特定の人種、民族、職業などに対する偏見や陰謀論を増幅、拡散させ、より大きな社会的影響力を持つにように仕立てる。よく見かけるものの多

          偽・誤情報、デジタル影響工作と認知戦についてのメモ

          政治学と経済学のためのRパッケージ11選

          「政治学と経済学のためのRパッケージ11選」が紹介されていたので、備忘録として残しておく。 https://rforpoliticalscience.com/2023/04/07/top-r-packages-for-downloading-political-science-and-economics-datasets/ 1.WDI https://rforpoliticalscience.com/2020/12/18/download-worldbank-data-w

          政治学と経済学のためのRパッケージ11選

          AI時代でも健在の「やらずぶったくり」ビジネス AI学習データの危機的不足

          グーグルやMetaなどビッグテックの多くは「やらずぶったくり」で急成長を実現してきた。法規制がほとんどない時期に個人情報を集めまくり、著作物への対価を支払わずに利用して利益を得て、勝手に世界中の街の写真を撮りWiFiの情報を収集しまくってきた。法規制が整ってくる頃にはビジネスが巨大になっており、法規制が整ってきた頃にはすでにそれは後発企業を締め付ける参入障壁として機能する。 過去の新ビジネスの多くは法規制がまだない市場でやりたい放題やって、他人の権利や著作を「やらずぶったくり

          AI時代でも健在の「やらずぶったくり」ビジネス AI学習データの危機的不足

          「偽情報を追う ネットに漂うフェイクニュース」に見る朝日新聞の限界

          朝日新聞に「偽情報を追う ネットに漂うフェイクニュース」( https://www.asahi.com/rensai/list.html?id=2287 )という5回の集中連載の記事が掲載された。中国初らしい偽情報を記者が追う話しだったが、新しい情報は少なく、分析や解釈がなかったので正直がっかりというか、これが朝日新聞の限界なんだと驚いた。 有料記事だったので、掲載されるたびにXで無料でプレゼントした。朝日新聞の無料プレゼントは24時間期限なのでnoteでプレゼントできない

          「偽情報を追う ネットに漂うフェイクニュース」に見る朝日新聞の限界

          沖縄認知戦から逆算した台湾併合の時期は2027年から2028年

          本稿は「台湾併合のための沖縄認知戦が本格化してきているという話」のおまけです。 偽・誤情報、デジタル影響工作、認知戦は、より大きな計画の一部であることが多い。特に中国の認知戦は、「軍事的優位を政治的勝利に結びつける」ことが目標である以上、軍事を含めた大きな戦略の一部の可能性が高い。 くわしくは、こちらを参照https://note.com/ichi_twnovel/n/n1cfd32acb0f3 ここでいう軍事行動には示威行動なども含まれると考えられる。この考え方に乗っ

          沖縄認知戦から逆算した台湾併合の時期は2027年から2028年

          台湾併合のための沖縄認知戦が本格化してきているという話

          沖縄(琉球)独立といってもピンと来ない人がほとんどだと思う。しかし、いま、中国が仕掛けているのは沖縄(琉球)独立あるいは先住民として認めさせることなのだ。もちろん、その目的は、日本を単に混乱させるなどといったことではなく、台湾併合である。中国は台湾併合に向けて、さまざまな手を総合的に打っており、沖縄はその中でも重要なもののひとつだ。なぜなら、沖縄の米軍基地が使用できない、あるいは使用が制限されれば台湾有事の際の軍事的対応に問題が生じる。 なぜかあまり日本では沖縄と台湾併合につ

          台湾併合のための沖縄認知戦が本格化してきているという話

          LLMから幻覚を取り除くのは不可能ということを数学的、論理的に証明した論文

          2024年9月9日、Sourav Banerjee, Ayushi Agarwal, Saloni Singlaらの論文、「LLMs Will Always Hallucinate, and We Need to Live With This」( https://arxiv.org/abs/2409.05746 )が公開された。この論文はLLMの幻覚(hallucinations)は原理的に除去不能であることを証明した。 ●概要論文ではLLMの原理を分析し、すべての幻覚が構

          LLMから幻覚を取り除くのは不可能ということを数学的、論理的に証明した論文

          Social Media Labによるオープンソースの選挙広告分析ツールPoliDashboard

          カナダのSocial Media Labが公開した各国でMetaに出稿されている選挙広告の分析ツールPoliDashboard。14カ国に対応。残念ながら日本は入っていない。 国をクリックすると、こんな感じで選挙広告の出稿費用のランキングが表示され、その詳細を確認できる。 広告で使用された単語の分析もできる。ハリス陣営は対トランプを最大のアピールにしているようだ。 好評発売中! 『ネット世論操作とデジタル影響工作:「見えざる手」を可視化する』(原書房) 『ウクライナ侵攻

          Social Media Labによるオープンソースの選挙広告分析ツールPoliDashboard