「偽情報を追う ネットに漂うフェイクニュース」に見る朝日新聞の限界
朝日新聞に「偽情報を追う ネットに漂うフェイクニュース」( https://www.asahi.com/rensai/list.html?id=2287 )という5回の集中連載の記事が掲載された。中国初らしい偽情報を記者が追う話しだったが、新しい情報は少なく、分析や解釈がなかったので正直がっかりというか、これが朝日新聞の限界なんだと驚いた。
有料記事だったので、掲載されるたびにXで無料でプレゼントした。朝日新聞の無料プレゼントは24時間期限なのでnoteでプレゼントできない。代わりに関連する拙note記事をあげておく。
台湾併合のための沖縄認知戦が本格化してきているという話、 https://note.com/ichi_twnovel/n/n9e3bae63b010
沖縄認知戦から逆算した台湾併合の時期は2027年から2028年、 https://note.com/ichi_twnovel/n/n74fe66a43787
「From Coercion to Capitulation」が描く非軍事手段による台湾併合シナリオ、 https://note.com/ichi_twnovel/n/n72995d4e05b8
Citizen Labが暴いた中国の偽メディアネットワークPAPERWALL、 https://note.com/ichi_twnovel/n/n3adc63d602f5
Metaの2023年第2四半期脅威レポート 中国オペレーションの大規模テイクダウン(朝日新聞の記事では全く触れられていなかったが、中国はこの時期世界規模での作戦を実施していた)、 https://note.com/ichi_twnovel/n/n3adc63d602f5
最後どうまとまるのか気になって全部読んでしまったけど、まとまらないで終わってしまった。
今回の一連の記事の多くの情報は既報のものだったので、分析と解釈にかかっていたはずなので残念。
この分野を代表する研究者の川口氏を最後にもってきたのは当たりと思う。
下記、気になった点。
1.Paper Wallへの疑問
CITIZEN LABは人権とサイバーの領域に特化しており、私の知る限りPaper Wall以前に人権侵害とは関係のないテーマを扱ったことがなく、その後もない。なぜ、これだけが違うのか? 取材したならそこを訊いてほしかった。
2.文脈がない
分析と解釈のためには文脈の理解が必要になると思うのだが、この一連の記事は「中国が偽情報を流している! その実態を明らかにする!」ということが中心で、その情報の多くは半年以上前のマンディアントやCITIZEN LABなどの情報で
ある。文脈を把握したうえでの分析と解釈がほしい。ない場合は新しい情報がほしい。
なんとなく沖縄と中国といったら、台湾併合との関連を疑うと思うんだけど、そうじゃないのかな?
2年前に下記に書いたけど、台湾そのものよりも周辺国(韓国、日本)に対するサイバー攻撃と認知戦が激化する可能性が高かった。そして、その通り、サイバー攻撃は増え、認知戦も多くなってきている。PAPERWALLや沖縄認知戦はこの文脈に沿っていると考えると整理しやすい。もちろん、それ以外の可能性もあるけど。
台湾がウクライナとは違う理由──中国のサイバー攻撃の裏には地政学的な狙いがある
https://www.newsweekjapan.jp/ichida/2022/09/post-38_2.php
3.パーセプション・ハッキングやオペレーション・オーバーロードの可能性を考えていない
パーセプション・ハッキングやオペレーション・オーバーロード的な作戦の可能性がある。昨今、朝日新聞やNHKが偽・誤情報を取り上げるのは。オペレーション・オーバーロードのようにわざと取り上げさせるように仕掛けているのかもしれないと思う。
ファクトチェック団体とメディアをターゲットにした「オペレーション・オーバーロード」のアップデート
https://inods.co.jp/news/3912/
いろいろ気になる記事だったので、読んでよかったとは思う。
好評発売中!
『ネット世論操作とデジタル影響工作:「見えざる手」を可視化する』(原書房)
『ウクライナ侵攻と情報戦』(扶桑社新書)
『フェイクニュース 戦略的戦争兵器』(角川新書)
『犯罪「事前」捜査』(角川新書)<政府機関が利用する民間企業製のスパイウェアについて解説。