2021年悪化する民主主義指数が示す世界の現在
世界の民主主義の状況を16年前から指数としてまとめている民主主義指数の最新版が2月10日に公開されていた(https://www.eiu.com/n/campaigns/democracy-index-2021/)。指数を公開して以来ずっと世界全体での民主主義指数は悪化しており、今回も悪化した。昨年はコロナの影響が見られ、今回もそれは継続している。 なお、もうひとつの代表的な民主主義指標であるV-Demの最新版については下記。やはり悪化している。
2極化し暴力化する世界 V-Dem2022レポートの衝撃 https://note.com/ichi_twnovel/n/n36e987252529
●昨年に続き、民主主義国の数、人口ともに世界の半分を割り込む
民主主義指数では、完全な民主主義、瑕疵のある民主主義、ハイブリッド、権威主義の4つに分けている。それぞれ以下のようになっている。目を引くのは権威主義国が59カ国と世界最多となっていることだ。
・完全な民主主義 21カ国(12.6%)、世界人口の割合6.4%
・瑕疵のある民主主義 53カ国(31.7%)、世界人口の割合39.3%
・ハイブリッド 34カ国(20.4%)、世界人口の割合17.2%
・権威主義 59カ国(34.3%)、世界人口の割合37.1%
コロナへの対応である程度国民の権利を制限せざるを得なかったことが昨年からスコアに大きく影響し、全体の民主主義スコアは昨年の5.37から5.28と大きく下がった。
1位ノルウェー、2位ニュージーランド、3位フィンランド、4位スウェーデン、5位アイスランドとなっている。日本は完全な民主主義に分類され、17位となっている。ちなみにアジアでは台湾が8位、韓国が16位となっている。
民主主義指数は市民の権利、文化、政治参加、政府の機能、選挙プロセスと多元性の4つの尺度で計測しているが、政治参加以外のすべての項目でほぼずっと16年間減少を続けている。政治参加は、抗議活動などのデモも含まれるため、他の項目の悪化が後押しした可能性も指摘されている。
●今回は中国に焦点
今回のレポートでは中国の影響力の増大について解説している。中国は国家資本主義あるいは政治資本主義と呼ばれる特異な資本主義で40年間成長を続けてきた。GDPは2016年に日本を抜いて世界第1位となり、10年以内にアメリカを抜くと予測されている。
迅速かつ効率的な意志決定と、経済と安全保障を優先した長期計画の策定と実施が、成長を支えており、これはチェックアンドバランスや透明性を犠牲にして達成されている。
その一方で、汚職などの腐敗や、所得格差、不平等などの問題がある。将来については、現在の体制が長期化した場合にリスクが増大するという指摘されている。また、人口動態の変化により、労働力不足になるリスクも顕在化している。
民主主義を知るための本(https://note.com/ichi_twnovel/n/n6651178d7522?magazine_key=m6c3f2276706c)
2つの民主主義尺度が示すコロナと民主主義の衰退(https://note.com/ichi_twnovel/n/nf5278c1cbba2)
3つの民主主義指標の項目について(https://note.com/ichi_twnovel/n/nc9117c723b36?magazine_key=m6c3f2276706c)
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