大前研一「世界の潮流2023〜24」
・本書は、作家で経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている著者が、ウクライナ、アジア、アメリカ、欧州など世界各国の動向、日本のこれからなど、今後の世界の潮流についてどうなっていくのかについて解説した1冊。
・2022年の世界経済は、一部の国を除いて成長率が2021年に比べて大幅に鈍化した。
・今年2023年はさらに悪化する見通しで、ウクライナ侵攻の長期化による軍事費の拡大や西側の経済制裁に苦しむロシアはもちろん、アメリカやEU各国も軒並み成長鈍化と予測されている。
・成長率が5%を超えると予測されているのは、人口増加が続き、2023年に中国を抜いて世界一の人口大国となったインドのみという状況だ。
※各国で成長鈍化が進む最大の要因が取り上げられているが、詳細は本書をお読みください。
・2022年7月8日、安倍晋三元首相が参議院選の選挙演説中に銃撃され死亡し、同年9月27日に日本武道館で「国葬儀」(国葬)が営まれたが、「果たして国葬がふさわしいのか」という反対の声も多く聞かれ、世論も真っ二つに割れた。
・岸田文雄首相は「歴代最長政権だった」「外交が国際的に評価された」ことなどを、安倍氏の国葬を決めた理由に挙げたが、いずれも理由になっていないと著者が語る。
・著者は、戦後の歴代首相の中で国家への貢献が最も大きかったのは、安倍氏ではなく中曽根康弘氏で間違いないと本書で伝えている。
・中曽根氏は、自身の内閣(1982〜1987年)で、「三公社五現業(日本国有鉄道、日本電信電話公社、日本専売公社、郵便、国有林野、紙幣等印刷、造幣、アルコール専売)の民営化」という難事業を見事に成し遂げた(日本郵政の民営化は小泉政権が実現)。
・外交面でも日米関係を「イコール・パートナー」になることを目指し、実際に当時のロナルド・レーガン米大統領とは「ロン」「ヤス」と呼び合うなど、日本のプレゼンスを確実に引き上げた。そんな中曽根氏でも、国葬ではなく自民党葬だったのだ。
・安倍氏が首相在任中に行ってきたことを冷静に振り返ると、とてもではないが、国葬に値しないと著者は本書で語っている。
※その理由については、本書をお読みください。著者は安倍氏を批判的に語る一方、評価している一面もある。
・本書は、「アフターコロナへ移行するも、回復には遠い世界経済」「日本で高まる3つの地政学・安保リスク」「リーダー不在で混迷を極める世界の主要国・地域の動向」「難題山積の岸田内閣が取り組まなければならない課題」「2023年、日本と私たちがとるべき指針」という章で構成されており、2022年のこれまでを振り返り、どのような出来事があり、その理由はなんだったのかについて解説し、これから起こることを予測し、どのように対策すればよいか混沌の時代を生き抜くヒントになる内容が掲載されている。
また、帯の後ろに著者による本書の動画での解説がサービスがついてますので、こちらもお見逃しなく!
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