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コトブキツカサ「教養として知っておきたい映画の世界」

・本書は、年間映画鑑賞数約500本、インタビューしま国内外の俳優の累計は1000人以上のエンタメ評論家、映画パーソナリティの著者が、映画をもっと楽しむための映画の味わい方について解説した1冊。

・1895年12月、フランス・パリのグラン・カフェで、リュミエール兄弟が初めて観客から入場料金を取って映画を上映した。これが世界最初の"映画興行"といわれている。
・19世紀後期に映画という文化が誕生したが、その発明以来、約40年間はサイレント(無声)映画しか存在しなかった。
※サイレント映画の例として、「月世界旅行」(1902)、「大列車強盗」(1903)などが挙げられている。
・そんな映画界に新風を吹き込んだのがトーキー映画である。トーキーとは映像と音声が同期したもので、それまで実験映画として短編などが制作されてきた。
・そんな中、時代を大きく変えたのが長編映画として世界初のトーキーといわれている1927年10月に公開された「ジャズ・シンガー」である。
・ユダヤ人の少年ジェイキーが父親に反対されながらもジャズシンガーとして生きていく物語は、初のトーキー映画という話題性だけでなく、作品自体が評価されて興行的にも大成功した。
※その後、さまざまなムーブメントを経て、アメリカ・ハリウッドを中心に世界的発展と変化を繰り返し、約130年の時を経て現在に至るが、その間のプロセスについては、本書をお読みください。

・昔から「映画製作はギャンブル」といわれている。制作費を回収できず赤字に陥る作品が多数存在する一方、大金が転がり込む大ヒットもあるからだ。
・2018年に映画や演劇、俳優養成の専門学校のシネマプロジェクトとして制作された「カメラを止めるな!」は制作費300万円で作られ、当初2館での上映ながら観客から支持を受け、リピーターも続出、SNSの口コミが拡散され、日本だけで30億円以上の興行収入となり、海外リメイクもされた。
・反対に2001年はハリウッド版「ファイナルファンタジー」は制作費1億3700万ドルに対し、興行収入は8500万ドルと、業界内では興行的大失敗作としてその名が知られることとなった。
・そこで、作品制作の資金調達の際、一企業単独ではなく複数企業に出資を募る「製作委員会方式」が登場した。
・現在では、映画やテレビ番組やアニメなどの映像作品だけでなく、演劇やミュージカルといった舞台作品でも用いられている。
・複数の企業が資金を出し合うことで、仮に興行収入が不振に終わったとしてもらスポンサーは単独出資のケースと異なり大きな弊害を被ることが少なくなりら作品がヒットすれば、多額の利益が出資者にも分配される。
※製作委員会方式は、資金集めやプロモーションの面で有益なシステムである一方、弊害もある。その詳細については、本書をお読みください。

・本書は、「商業映画の誕生と発展」「映画業界の現状と課題」「映画の歴史を変えた10作品」「映画の世界の表と裏」「映画のウィスプ」「映画にまつわる個人的文化資源」という章で構成されており、
◇時代と共に変化する映画界のムーブメント
◇日本の映画料金は高いのか安いのか
◇昨今の日本映画の課題
◇韓国映画が世界的に躍進した理由
◇著者の心に響いた映画名言
といった知ると映画を観たくなる映画の歴史から各作品の解説、映画の「教養」が収録されている。
・また、「著者の大好きな映画エピソード」や、「トム・クルーズ」「渡辺謙」といった映画人とのエピソードも収められている。
・さらに、相手の心理がわかる著者考案の「映画心理分析」も紹介されている。

「映画を定期的に観ている」、「これから映画を楽しみたい」という方は、参考になる本ですので、ご一読ください。


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