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キューリング恵美子「ドイツ人はなぜ「自己肯定感」が高いのか」

・本書は、ドイツ人との結婚を機に、30代でミュンヘン近郊に移住し、ドイツ在住20年を超える著者が、ドイツ流"ストレスフリー"な生き方の極意について紹介した1冊。

・ドイツ人の多くは、仕事でもプライベートでも、多くの時間をノーメイクで過ごしている。なぜノーメイクで過ごしているのかというと、他者の評価や視線を気にしていないから。ドイツ人は、自分に自信がある(自己肯定感が高い)から、まわりが自分をどう見ているかなど問題ではない。大切なのは自分の気持ちで、ノーメイクだろうと、自分の価値は何も変わらないことを知っている。メイクをしたいときはする、したくないときはしない、常に、自分の気持ちにフォーカスした生き方をしているから、ノーメイクであろうが厚いメイクをしていようが、それは個人の自由なのである。
※ちなみにドイツ語には「すっぴん」に合致する言葉はないとのこと。

・ドイツのサウナは「混浴」が基本。脱衣所も男女混合で、ここで服を脱ぎ、持参のバスローブを着て、手にはバスタオルを持ち、ビーチサンダルを履いてサウナに向かう。その時、老若男女一緒にサウナを楽しんでいることに著者は驚いたとのこと。

・日本とドイツでは「恥ずかしい」という感覚が違う。ドイツ人が裸に恥じらいがなく、平気でいられるのはFKK(エフカーカー)〈フライカーパークルクルチュアー〉という裸体主義文化と関係があるから。ドイツは裸で日光浴や海水浴、森林浴、スポーツなどを楽しむ文化があり、これは日光や水、きれいな空気に全身で触れてら衣服の拘束から解放されようというものである。英語では、「ヌーディズム」と呼ばれている。このような文化的背景があるため、人前で裸になるハードルが低いとのこと。こうしたFKKという文化にも、ドイツ人の「他人の目を気にしない」「ありのままの自分を大切にする」生き方が表れているように思うと著者は感じている。

・ドイツ人は「休暇」のために働いているといっても過言ではない。ほとんどのドイツ人は、家族がいても、独身でもら決められた有給休暇はほぼ100パーセント取得している。そして休暇は、家族と共に、あるいは自分が行きたい場所へ旅行をして過ごすのが一般的である。ドイツ人は倹約家と言われているが、旅行に関しては、1年間のうち、通常は2〜3週間の長期休暇を取得し、旅行にお金を費やすので、旅行に関しては当てはまらない。そのためにお金が必要なので、ドイツ人は仕事をしている。

・また、ドイツでは休暇を取ると「手当」がもらえるようになっている。連邦休暇法により、企業経営者は毎年24日以上の有給休暇を与えなければいけないと決められている。著者の夫も、年に30日の有給休暇をもらい、さらに残業時間をオーバーしてしまった場合などはそれを代休に替えて、年間30日以上の有給休暇を100パーセント消化している。

・本書では、ドイツの「生き方・仕事観・教育法・生活スタイル」を中心に、著者が実際に体験した事例やドイツでは当たり前と言える常識が紹介されている。具体的には、小学1年生から「留年」もある」「上司と部下がお互い友人同士のようなフランクな言葉(日本的に言えばタメ口)で話す」「ドイツの車はマニュアル車が主流(近年は電気自動車へ転換するかも?)」などがある。

この本では、ドイツ人の生き方を参考にしようと伝えているが、もちろん、すべてにおいてドイツ人の真似をしていく必要はなく、ドイツと日本の"いいとこ取り"をして、グローバル社会を軽やかに歩んでほしいという著者の思いがある。「ガーン」と衝撃が走る項目もありますので、それを楽しみながらお読みいただけたら幸いです。

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