山本邦義「付加価値経営の教科書 事業を飛躍させる透明資産の見つけ方、活かし方」
・本書は、中小企業の経営指導や再生を手掛ける"事業再生のプロ"である著者が、どんな会社でもできる、見えない資産である「経営資源」を発掘し、付加価値を高める方法や、すでにある資産を有効活用する方法について解説した1冊。
・2020年に始まった新型コロナウイルス感染症の感染拡大の当初、日本の感染症対策をめぐる環境についての報道で、
◇インフルエンザの予防や感染症対策として、マスクをする習慣がある。
◇人と会ったときには、ハグではなくお辞儀をする。
といった文言があった。
・著者は、日本人の行動、思考パターンは感染症対策として非常に理にかなっている面があると思っている。
・また、他の海外と違い、日本には「独自の文化」がある。同じ食材(みそやしょうゆなど)でも、気候や風土、温度、湿度、土地によって見事に味が違うのだ。
・さらに、
◇国民保険制度がある。
◇肥満率が低い。
◇肺炎治療に対する知見がある。
というのも、日本ならではの特質である。
・公的医療保険に誰もが入れる国は、先進国でも多くはない。
・私たち日本人は、日本の潜在的な優位性を存分に意識し、うまく使いこなす必要がある。
・コロナ禍のような有事の際、お上が一つ一つ指示しなくても問題に対処できる、というのが日本人の特性であると著者は考える。
・見慣れない言葉(ソーシャルディスタンス・ロックダウンなど)が示す内容や「新しい生活様式」に、日本人は過敏かつ柔軟に対応してみせたことは、実は大変なことなのだ。
・これまでの日本社会、日本企業は多様性に欠けていた。むしろ、単一性をフォローの風にして世界に伍してきた面は否めない。
・しかし、コロナ禍以降は、さすがにそう言ってもいられない。日本ならではの特性を残しながら、グローバルスタンダードに向けて踏み出せるか、という覚悟が問われる。
・本来の良さとグローバル化の両立ができれば、日本企業はこの先もうまくやっていけると著者は考えている。いわば、おいしいブレンドコーヒーを作るようなものであり、よりユーザーの口に合うものを作れれば、付加価値は高まる。つまり、時代の変化とお客さんの声を生かして変革することが大事なのだ。
※ある有名とんかつ店の事例について触れているが、詳細は本書をお読みください。
・本書は、「9割の社長が経営資源を生かしていない」「それでも海外に「漁場」はある」「地域の中小企業の底力」「企業再生の最前線から得た学び」という章で構成されており、「変革のチャンスの時期とは」「少子高齢化で日本の産業構造は変化する(医療・介護・観光)」「外国人社員教育という課題」「日本に問われる力とは」など、自社の「透明資産の価値」に気づき、企業の社員は自分の中にある「付加価値」に気づくことができる内容となっている。
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