猫は嫉妬しない生き物なのか
「猫は嫉妬する?」という問いに対して、猫飼いとしての直感的な答えは「いいえ」だ。なぜなら、猫という生き物は嫉妬という感情を抱くにはあまりにも自己中心的で、そんな暇があれば自分をさらに快適にする方法を考えるのに忙しいと思うから。
たとえば、私が他の猫を撫でているとき、横でじっと見つめる猫がいる。これは嫉妬ではない。彼らはただ「私も撫でろ」と言っているだけだ。
むしろ、「その手を今すぐ私専用に切り替えろ」という要求に近い。
嫉妬とは他者との比較によって湧き上がる感情だが、猫にとって比較など無意味。彼らにとって重要なのは「自分がどう扱われるか」だけだ。
犬と違い、猫は他者の動向にそれほど興味を持たないらしい。犬が「僕を見て!」と必死にアピールする一方で、猫は堂々と「私を無視するなんてあり得ない」とばかりに飼い主の膝の上に割り込んでくる。長年猫と共に暮らしてきて思ったことは、嫉妬を感じて悲観するのではなく、「状況を自分に有利に変える」ことに徹するのが猫のスタイル、ということだ。
また、猫同士でも嫉妬というよりは単なる力関係の問題である。新しい猫が家に来たとき、先住猫が怒るのは「この家のボスは私」という縄張り意識の表れだ。それを嫉妬と呼ぶのは少し違う気がする。彼らは誰かに取られることを恐れるより、自分が取ることに集中する。
結局のところ、猫に嫉妬心がないわけではないかもしれない。
ただし、それをエネルギーに変えて、あくまで自分の利益を最大化する方向に振り切っているのだと思う。つまり、「嫉妬しても意味ないから、自分が一番であるように振る舞えばいい」という猫流の合理主義ということになる。そう考えるとまるでIQの高い人格者のような思想だ。私も真似してみようかと思う。