経営企画とHRは兼任すると良いという話
こんにちは。私は九州地方の社員数200人規模の住宅メーカーで経営企画とHRの責任者をしている石田です。
唐突なんですが、タイトルの通り中小企業においては経企とHRは兼任すると良いというお話(どちらかというと人事よりの話)をします。
HRの役割
そもそも、HR(人事)の役割ってなんでしょうか。HRの役割は、人や組織・エンゲージメントに対してアプローチしますが、究極の目的は「市場競争に勝てる組織をつくる」ということだと学びました。
HRのミッションは“The right person at the right place do the right things” (適切な人材が適切な場所で適切な仕事をする) であり、組織として「適切適材」な状態を作り上げるためにHRが存在しています。
確かにその通りで、社員は会社のビジョン・事業計画を達成するために雇用されており、「社員一人一人の価値を最大化する」ことでその目標が達成できます。ヒト・モノ・カネ・情報の経営資源のうち、最も難しいと感じている「ヒト」へのアプローチを行います。
そのために社内で人への共通認識をもつために人事ポリシーを策定し、人事戦略の構築や各種施策を行います。以下が戦略人事の体系図です。
経企とは
一方、経営企画の役割は会社のビジョンや事業計画・P/Lなどの予算を作成し、計画を達成するための分析や戦略構築・施策の検討、進捗の管理を行います。予算を作る際にも要員計画や部門別の採算を検討し、最適な計画を立てます。
つまり、経営企画もHRもどちらも会社のビジョン・業績目標を達成し、企業価値を高めるという観点が同じでつながっているという話です。
現在私は社内で経営企画とHRを兼任していますので、Strategic HRMの概念をもとに業務体系を図に整理してみました。
図にするとわかるようにHR戦略は「事業」戦略に、事業戦略は「経営」戦略に、経営戦略は「MVV」達成に内包されているので、経営とHRは切り離せません。日々のHRとしての仕事は全てビジネス戦略から生まれており、 HRは企業としてのミッションやゴール、それらの達成のために設定されるビジネス戦略を深いレベルで理解しなくてはいけないのです。そのため、HRが経営を理解する必要があります。私は経企とHRを兼任することで、より会社のミッションビジョン達成のための判断が日々できていると感じ、施策にブレがなくなってきます。人事のKPIもこれまでの採用人数や内定承諾率などから、1人あたり売上やエンゲージメントの定量数など、より経営に近い指標で設置することができます。
また現在の私の業務として主力事業の数値進捗管理を行っており、毎週の営業責任者たちの進捗MT(ヨミ会)に参加しています。その中にでてくる事業の課題、さらには人事的な課題(育成・配置・採用)などにリアルタイムで対応できる仕組みで、いわゆるHRBP業務の一つです。経企と人事のシームレスな連動は、事業の成功にスムーズに寄与します。
中小企業での課題
このように、経企とHR兼任最高説を唱えていますが、ここでひとつの課題があります。
それは、経営企画とHRの両方の領域を分かる人材が少ない、ということです。経営企画は会社の事業計画作成・予算作成・業績管理・新規事業などを担当します。一方でHRは採用・配置・報酬・育成・評価などを担当します。それぞれがスペシャリスト的な存在であり、キャリアにおいて交わることが少ないです。下図キャリアラダー(キャリアのはしご)においても、これまでの日本はどちらかというと新卒でもジョブ型採用よりメンバーシップ採用(総合職)が多く、事業部門と間接部門では行き来がしにくいイメージです。
私の場合、事業企画→フリーランス→マーケ→新規事業→経企→マーケ→HR→経企・HR(イマココ)という流れでどちらかというとビジネスサイド寄りでキャリアを進めてきました。(途中転職もしています)
県内の人事担当と話すことが多いのですが、事業サイドがわかる人事がなかなかいないのが現状です。中小企業ではそもそも戦略的な人事でなく、管理的な人事業務で配置している会社も多いです。
そのため、戦略部門でなく管理部門として組織に配置されているため、人事戦略でなく、管理人事が行われています。大企業やメガベンチャーなどは人的資本経営が進み、HRBPやCHROなどビジネスよりの人事も増えてきていますが、地方の中小企業ではまだまだ人事の役割が弱いのが現状です。
まずは人事をHRとしっかり認識し、人事の役割をアップデートしていくことが必要です。
どちらがよいというわけではありませんが、今後人材・人手不足が加速する中、より人を資源とした経営をしていくためにはHRの役割はますます重要になってきます。
というわけで、今後人事向けの勉強会などを積極的にやっていこうかと思います!