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#8 お局さんとのペアナース

金魚のフンのようにひたすら着いていく期間が終わり、日勤帯での受け持ちの数も徐々に増えていく中、お局さんとペアになることが多くなっていきました。


私が就職した病院では、日勤帯は2人1組で複数人の患者さんを担当することになっていました。

世間的にはパートナーシップ・ナーシング・システム、PNSという制度が有名ですが、1年を通してのパートナーではなく、飽くまで、その日の日勤帯を2人1組で担当していました。

PNSとは
2人の看護師が安全で質の高い看護を共に提供することを目的に、良きパートナーとして対等な立場で互いの特性を活かし、相互に補完し協力し合って、毎日の看護ケアをはじめ委員会活動・病棟内の係の仕事に至るまで1年を通じて活動し、その成果と責任を共有する看護体制の事です。

福井大学医学部附属病院看護部HPより

つまり、仮に14人の患者に対して2人の看護師がいた場合、7人ずつを1人で担当すると、担当の看護師1人の知識と経験で対応するしかないけれど、患者は倍の14人であっても、2人の看護師で担当することで、2人の知識や経験を合わせて補い合い、質の高い看護ができる。という考え方です。


名目上、PNSのメリットである「対等な立場で補完し合って」患者を看るということがしたいのでしょうが、そんなのは机上の空論…大ベテランと新卒がペアになったとして、先輩から学ぶことはあれど、先輩の得になるのはナースコールの対応など雑務をやらなくて済む程度のことでしょう。

お局さんとペアになった日のミッション

私たち1年目ができることといえば、ペアの先輩の行動を先読みしてできることを準備することくらいでした。相談しやすい先輩であれば、口に出して「これやりました」とか「あれはしといたほうがいいですか?」と確認しやすいので、先輩との認識違いや、自分の勘違いなどでやらかすことも事前に防げるのですが、お局さんとペアになった時、極度の緊張と恐怖で、「ミスは許されない!お局さんが動く前に動かなきゃ!!!」と1人で少ない知識でどうにかしようとしてミスをしたり、お局さんと噛み合わず無駄な作業やお互いの業務のすれ違いなどが起きてしまうのです。

「他の先輩とだったらすごくうまくいくのに!!!なんでお局さんとペアの時に限って!!」と思いますが、それは全て私の心理的な部分に要因があるんですよね…

そして、何より、教育担当の先輩とペアになれば、いろんなことを教えながら業務を進めてくれますが、お局さんとペアになると「これ初めてなので教えてください」と言わなければ絶対に教えてくれないので、お局さんが1年目でもこれはできるだろうと思って、「じゃあこれやって」と頼まれたことができなかったり、時間を要することにあからさまにイライラしていくのが目に見えてわかるとさらに萎縮してしまうのでした。

もちろん「教えて欲しい」と意思表示するのは当たり前のことなので、お局さんに限らず、ペアになった先輩に朝のご挨拶をする地点で、その日に予測される初めてのことは伝えていました。しかし、それをしても、お局さんは「それも私が教えなきゃいけないわけ?」という嫌味を言ってくる日もあるわけです…。

そして、「初めてです、教えてください」のお願いの数が少しずつ減ってきたある日、お局Aさん(#7参照)とのペアの日…日勤開始1時間ほどで、お局さんに言われたことがありました。流石に辛かったので、昼休憩でその日休みだった同期にLINEをして1人食堂で泣きながらご飯を食べました。

帰宅後に書いたストーリー

この日は本当に、まっっったく噛み合わなくて、気を利かせて先回りしたことが裏目に出てしまったり、お局さんが思った順番と逆で準備してたり(順番は人それぞれの仕事なので正解はないもの)、とにかく何もかもが噛み合わなかったのは事実でした。

悲しみ三周半の先のイライラ

ぐうの音も出ない指摘もあるし、完全に勉強不足であることを怒られるのは、辛いけどしょうがない、自分が悪いと思えるのですが、言い方は嫌味っぽいし、この一言に関しては別に言わんでもいいじゃねーか!と思ったからこそのイライラだったのでしょう。

でも、昼休憩のLINEで同期が慰めてくれて、お腹も満たされて少し元気を取り戻して、午後も一生懸命仕事をしたのを覚えています。

やっぱりここでも、助けてくれるのは同期だったわけです。

怒涛のペア日勤が日々過ぎていきました。

次回、ペアより怖い、お局への申し送り

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