看護師4年目に来た野心家な研修医と、夢のない新人看護師
その研修医は、昭和のヤクザみたいな風貌でした。
本大学出身者で、生意気そうに偉そうにしてました。
ところが、ある時この研修医が、目立たない地味な新人ナースに、恋に堕ちてしまって、
そのナースは、ぴっちりおかっぱ、眼鏡、一重で、顔は丸くて、体型は普通。
どこからどう見ても、モテなさそうな暗めのタイプでしたが、何故か
その野心家研修医のツボにハマってしまったらしく。
眼鏡ナースを前にすると、言葉が出なくなる、という、可愛い現象が起こってて
傍目から見ておかしかったです。
偉そうなことばかり言っている研修医の口癖は
教授の椅子は俺のものだ!
研修医にしてはイタイくらいな発言でしたが、本当にそうなりそうな、
こーゆータイプがなるのかなぁと思いました。
惚れられてるメガネの子は、そんな頼もしいヤクザ風研修医には見向きもせず、
知らん顔していました。
夜勤中、
私がメガネの子に「すごい惚れられてるやん、教授夫人?」と茶化すと
メガネの子「私ね、男の人は信じないの。」
私「なんで?」
メガネの子「うちの父親、ずっと、不倫してて、そのことでほぼ母子家庭状態だったの。」
私「離婚はしなかったの?」
メガネの子「しなかったよ…離婚したらお母さんも私も弟も生きていけないじゃん」
私「お父さん金持ちだったんだ。」
メガネの子「そうでもない、寧ろ、自由なお金なんてなかったと思う。
あのね、不倫て、本気になると、女の方も金出したりするから、ずーっと続くのよ。」
私「お父さん、ハンサムだったんだ。」
メガネの子「そう…やね。」
メガネの子は、何かを思い出した様にゲンナリしていた。
メガネの子「私は結婚なんてしない,なにも良いと思わない。
別れられないお母さんも嫌だし、子供は不幸。」
その言葉は、現時点で不倫している私にとってはかなり重みがあった。
野心家の研修医は、メガネの子にかなりモーションかけていたけど、
メガネの子は、はぁ、とか、ふぅ、とか言って交わしていた。
結局、野心家の研修医は、赴任で、良いところへ行ったけど、メガネの子は目もくれず、ついていかなかった。
親が残す子供への影響は計り知れない。
うちだってそうだ。
そして、私も誰かの家庭を壊そうと?している。
いや、相手が別居してるだけで離婚するとは限らない。
この頃から、もう25も超えて、まともな結婚に憧れる様になりました、
とは言っても不倫相手のヒデちゃんとはなかなか別れられなかったけど、
誰にも言えない事が辛い。