『仕掛人・藤枝梅安 1,2』（2023年版）

昨年劇場公開された正・続編が地元ローカル放送局でオンエアされたので録画視聴しました。

これまで何度となく映像化されてきた作品、「すでに名作がたくさんあるんやから、やらなきゃ良かったのになぁ」なんて感想になったらどうしようと思いつつ観てみると、それは杞憂というもので、正統派時代劇として充実した作品でした。

丸坊主の豊川悦司さんは梅安らしさ全開で、着流しもよく似合っていて本当に良かった。

彦次郎役の片岡愛之助さんが、これまた凄く良かった。二人の間に漂う乾いた友情の空気感が絶妙。全体に抑えた演出で、光と闇のあわいを生きる男たちと女たちの悲哀がよく滲んでいた。

殺陣の場面はあまり多くないけれど、2で佐藤浩市さんと一ノ瀬颯さんが魅せる大立ち回りはとても良かった。一ノ瀬さんという若い役者さんの殺伐とした二刀流、格好良かったなあ。

菅野美穂さん、高畑淳子さんら女優陣の存在感も、乾いた空気の中で情感を漂わせて印象深い。

椎名桔平さんのクズ浪人役は、『不夜城』の殺し屋を思い出させてちょっと笑いました。

白子屋菊右衛門役の石橋蓮司さん、シリーズ化されたら梅安の命を狙う敵役になるとしたたかで怖いやろうなあ。

ちょっと長いかなとも思うし、もう少しテンポよく展開して欲しかったけど、十分満足できる、時代劇の王道作品でした。

続編もあるといいなあ。