『教養としての都市論』三浦展
「教養としての」のタイトル繋がりに惹かれて(『教養としての建築入門』参照)手に取った一冊。
購入してから、著者の三浦氏は『下流社会』なる造語でベストセラーとなった人だと知り、Amazonの同書ユーザレビューでのあまりのケチョンケチョンぶりに、買って失敗したかなあ?と思いながら読み始めてみたら、なかなか、いやいや、かなり良くて、同姓同名の別人かしら?と思ったくらい。
この本の魅力は、失われゆく都市・東京の、陰影に満ちた表情を、丁寧に掬い取っているところ。
ブックレビューなので、東京を何かしらの方法で描いた本を取り上げて、レビューしつつ自身の東京への想いをうまく重ね合わせて、画一化・ホワイトウォッシュされてゆく東京を悲しげに見ている著者の、かつてあり、今は少しずつ損なわれている東京という街の風貌へのセンチメンタルなラブ・レター。
とてもナイーブな視線で、読んでいて切なさが伝わってくる。
少なくともこの本で伺い知れる著者の人柄は、下流だ上流だとカテゴライズして人を見下すような人柄には思えない。『下流社会』は読んでないので、実はそういう一面もあるのかもしれないけれど、何か誤解があるのかもなあ?(まあわざわざ『下流社会』読んで検証しようとは思いませぬが。)