竹西寛子『式子内親王 永福門院』
式子内親王(1149 〜 1201、後白河院の皇女)と永福門院(1271 〜 1342、伏見天皇の皇后)二人の女性歌人の人生を、それぞれの歌を通して立ち上げてゆく試み。
単に和歌を鑑賞するというようなものではなくて、詩歌を読むという行為を通して、ここまで凄まじく詠み手の心の奥底にまで迫っていけるものなのかと、圧倒される。
とくに式子内親王のほうが竹西寛子さんの思い入れは強いのか、細やかにしかし大胆に、言葉を掬い取ってその奥に揺れる式子内親王その人の像を描き出そうというその熱意に引きずられるようにページをめくる。
和歌の鑑賞というと静的なものをイメージしていたけれど、激しく滾るような文章でした。
とは言え、理智的で端正な佇まいを崩すことはなく、本当に素晴らしい評論集でした。
竹西寛子さん、これからもっと読んでいこうと思います。