『三人の乙女たち』フランシス・ジャム
『散文詩 夜の歌』に続いてジャムの再読。
『三人の乙女たち』は3つの中篇が収められていて、それぞれに主人公の少女がいて、タイトルになっている。
ジャムの文章は非常に生き生きとしていて、特に自然を描写する時と、少女立ちについて語る時、カラフルで美しく、まるでルノワールの絵を言葉にしたような。
しかし語られる物語はなかなかに重く暗い。そのギャップがまた面白いわけだけれど。
ただただひたすらに、悲劇に直面する少女たちの可憐さ美しさを描く作品。まぁおやじから見た理想の乙女、的なバイアスもあるんだけれども、とにかく文章が良いのでそういう臭みも薄らいで、楽しめる。
どうでもいいけど、捲毛を“橅材のかんな屑のよう”と喩えた比喩表現は、どうなんだろう。何となくしっくりくる気もするんだけれども、やっぱりかんな屑はないだろう。