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【鉄日】24/08/28. アメドラ"The 100"

連日連夜、猛烈な残暑が続きます。
いま居るところは盆地なので、夏は暑く冬は寒い、山々に囲まれ窪んだ土地は空気が沈殿し易いのだろう。
お盆過ぎから、アメドラ(米ドラマ略)で遣り過ごす毎日で、怠惰さを加速させている。
こちらも奈落の底、アリ地獄、もがけばもがくほど地中深く堕ちていく。

『ハンドレッド(The 100)』(2014~2020)

全7シーズン、100エピソード、一話40分として約67時間だ。
途中で何度頓挫しようかと思ったけれど、もういったん乗ってしまったからには降りられないというのがアメドラの法則、
ジェットコースターの如くぶん回される。
この物語はRPG的に進行していくので、自分が操作してるわけではないが、どこかでそれぞれのキャラに同調していく感覚が芽生えていく。
昨今この手のヤツはだいたいそうなっていて、このドラマがそうなのか知らないが、お話の行方も視聴者の動向で左右され変更し、人気のないキャラは消えていくという定めを踏む。
今やSNSや検索データ、A.Iが解析したりで、簡単にデータが得られるのだろう。

核戦争で住めなくなった97年後、地球から宇宙ステーション"アーク"に移り住んだ人類は、18歳未満の囚人100名を地球が居住可能かどうか確認するため送り込む、というところから物語は始まる。
しかし地球にはグラウンダー(森の民)と呼ばれる生存者がいて、空から降りてきた(空の民)との壮絶な縄張り争いへと発展していく。
さらに人喰い人種(リーパー)、科学武装を誇るマウンテンマン(山の民)といった部族と、争い合うことになり、部族統一を図る総帥の出現から、一気に加速していく。
1st〜3rdまでは一気見、それくらいスピード感と次へ繋げる展開は見事。
エピソードの終わりに急展開をぶち込んでくるから、あと一話、あと一話とかやっていくうちに止まれなくなる。
それぞれのキャラはどんどん成長し、思いもつかない役回りへ変化を遂げていく。
主人公クラークやベラミー(この二人は現実の世界で結婚したそうですw)はともかくとして、
マーフィーはきっと人気キャラだろう、憎まれ役がとうとう最後まで生き残るという絶妙な立ち位置をキープしていく。
僕は総帥レクサと、レイヴンが好き。
後半になってオクタヴィアが可愛くなってきた。
というような萌え要素も多分に含み、サバイヴしていく物語は、何度となく争いを繰り返し、原発メルトダウン、地球は再び放射能汚染、シェルターへ逃げる者、宇宙へ戻る者たちと枝分かれしていき、
核戦争の発端の秘密、A.Iによる現実逃避、原始的なものから超科学を取り込み膨れ上がっていく物語、
決闘、復讐、生き残りをかけ人類は血を血で洗う戦いを繰り返していく。
宗教による洗脳、モラリス、アセンション、未来人(使徒)出現、とことん取り込み包括していく。
冷凍睡眠、瞬間移動といった時間軸を壊し始める素材が、物語の後半を占めていく。
そのプリミティヴさとサイエンス的なものとの対比が面白くもあるが、どうも主人公に一貫性がなく、矛盾が生じてしまい、僕としてはウザいキャラとなりました。
でもそれを補うくらい他のキャラが魅力的、ウザいキャラはアメドラには不可欠ですよね、それもまた。

生存をかけ、仲間(グループ)を絶対視し、それを連ねて大きく膨れ上がっていく姿は、人類の起源の成り立ちを見てるかのようだ。
きっとユヴァル・ノア・ハラリ「サピエンス全史」を参考にしてるに違いない。
『3つの革命』のひとつ、

新しい思考と意思疎通の方法を得る『認知革命(7万年前)』に拠り
「現実には存在しないものについて語り、信じられる」ようになり、
「大勢で柔軟に協力するという空前の能力」を手に入れた。
貨幣、国、宗教——。
虚構・共通の神話を信じることで、無数の見知らぬ人同士が力を合わせられる。

「サピエンス全史 -文明の構造と人類の幸福」

「ウォーキング・デッド」SF調であろうか、随分と長丁場だったがお終いはあっけなく。
仲間のために、と繰り返す同じ過ち(戦争)に、現実を重ね合わせ、げんなりもした。

〆に僕のアメドラの初動をひとつ。

『ルーツ(Roots)』(1977)

クンタ・キンテ、これです。
今で云う、これは実話を元にしています、ていうテロップが入るような黒人奴隷4世代に渡るアメドラ。
アフリカ行って黒人捕まえて、自国で売り捌いて奴隷にしてしまうんだから、
そりゃあもう衝撃的でした。
77年「宇宙戦艦ヤマト」「スターウォーズ」それに並び、こんなドラマがテレビでやっていたんです。
なぜこんな理不尽な物語が描かれているのか、その背景を知るまでには至らなかった小学4年生、
であるが、ずっと忘れることが出来なかった作品。
あの他民族が集まる国は、さらっとこんなドラマを提出し、赦免を得ようとするのか、免責を求めているのか釈然としないが、それができるのもアメリカの強さである。