rootが取り組むデザインマネジメントと事業・組織を横断するデザイン環境づくりーー「Designship 2023」イベントレポート
こんにちは!root採用広報担当です。
rootは「Design Doing for More〜デザインの実践を個から組織・事業へ〜」をVisionに、事業の成長によりそい、デザインを実践しようとする人々を支え、世界をより良く前進させていくことを目指すデザイン会社です。
前回の記事に続き ※ 先日の9月30日、10月1日の2日間にわたって開催された日本最大級のデザインカンファレンス「Designship 2023」にプラチナスポンサーとして協賛させていただきましたので、その様子をお伝えできればと思います!
今回は、CEO西村が登壇したパネルディスカッションと、デザインプログラムマネージャー(DPM)の岸が登壇したトークセッションの2つの内容を中心にレポートします。
今年開催されたDesignshipについて
デザインカンファレンス「Designship」は年に一度、最前線のデザイナーたちにそれぞれのデザインに関する物語をお話いただくデザインの祭典です。
“ 広がりすぎたデザインを、接続する。” をコンセプトに、様々な業界から様々なデザインに携わる方々が集結。
4年振りのオフライン開催となり、2日間にわたって80セッション程の開催となり、それぞれの叡智や想いを爆発させる場所となりました。
rootは2021年から参加し、今年で3回目の参加となります。
今年のDesignshipは、rootとしてもはじめてプラチナスポンサーとしての協賛となり、ブースも出させていただくことになりました。
CEO西村が「デザインマネジメントの実践」をテーマに3社の皆さまとパネルディスカッションに登壇
昨年「Designship 2022」では「組織のデザイン実行力を高めるデザインプログラムマネジメント」というテーマで、rootが取り組むデザインプログラムマネジメントについて西村が登壇しました。
今年は、「デザインマネジメントの実践」というテーマについて、初日のパネルディスカッションに当社CEO 西村が参加させて頂きました。
ご一緒したのは、
エムスリーCDO / プロダクトデザイナーの古結 隆介さん、
Visionalグループ 株式会社ビズリーチ CDOの田中 裕一さん、
LayerX Design Manager / Product Designerの野崎 駿さん。
本パネルディスカッションは、デザインマネジメントにおける課題や成功事例を取り上げながら、デザインを組織やビジネスの中心に据える戦略的アプローチについて話し合うというもの。
「マネージャーになるという選択」や「協業や共創を前提としたマネジメントという選択」、「ビジネスに寄与するデザインマネジメントの在り方」という3つのテーマをもとに、登壇者がそれぞれ会社での取り組みや考えを語り合いました。
ーー1.マネージャーになるという選択
まず、最初のテーマとなったのが「マネージャーになるという選択」についてです。
デザイン業界がより発展し、成熟していくためにはマネジメント層やミドルマネジメント層を目指すデザイナーの数を増やしていく必要があります。ただし、業界全体を見渡してみても、まだまだ少ないのが現状。
登壇している方々はどのような経緯で、マネージャーとしてのキャリアを歩むことになったのでしょうか。
古結さんと野崎さんのお2人は「もともとマネージャーになるつもりはなかった」そうです。
良いプロダクトをつくり、ユーザーやお客様に喜んでもらうことを最速で実現する方法が「マネージャーになること」であったとのこと。
また、田中さんも「価値を最大化するために自分がどうするかという選択だった。」とおっしゃっていました。
当社のCEOである西村は、「rootは外部からデザイン支援をする立場ということもあり、立ち上げ当初は自分自身が手を動かして、デザインすることもありました。ただし、クライアントの事業が成長し、組織規模も大きくなるにつれて、自分一人で出来ることにも限界を感じていたんです。外部から支援する会社として、rootの組織規模も大きくしていかないと対応できないことも増えていました。自分が実現したいことは“事業成長への貢献”なので、自分がいつまでも手を動かすのではなく、マネージャーとしてのキャリアを歩んでいくべきだと思いました」と話していました。
登壇者は全員、マネージャーとしてのキャリアを歩んでいますが、一方でメンバーをマネージャーにアサインするのも難しい問題です。
マネージャーになるかどうかで迷うメンバーもいる中、古結さんは「まず小さな成功体験を積んでもらうようにしている」とおっしゃっていました。
具体的には、「マネージャー」の役割を明確に定義せず、まずはプロジェクトやプロダクトのチームをリードし、そこで成果をあげてもらうことを大事にされているそうです。
「何を成功体験とするか分からない状態のままアサインしてしまうと悪循環にハマってしまう。そのためにも、一つひとつ細かく成功体験を積むようにしています」と語られています。
また、西村は「マネージャーはプロジェクトに関わる人を巻き込み、マネジメントしていくことになるので当事者意識や主体性を持てているかはすごく重要になります」と語った上で、「自分もマネージャーのアサインに関しては試行錯誤を繰り返しているところです。自分が過去に経験したことなどを、相手目線でインプットしてもらうために、1on1を通して共有するといったことをやっています」と話していました。
ーー2.社外との協業や共創を前提としたマネジメント
続いて、「社外との協業や共創を前提としたマネジメント」というテーマについてディスカッションしました。
モデレーターの田中さんより、「内製化の走りはデザイン業界であったものの、進めていく中で、そのスキルセットの人を内部で抱えるのは難しい、仕事が余ってしまう等の課題も出てきており、外部とのコラボレーションを促進することがサービスや事業の価値を最大化するという大きな流れがあると思っている」とのお話しがあり、
そうした社外との協業や共創の重要性が高まりつつある中で、まずはデザイン会社として、さまざまな企業を支援する立場にある西村が「協業や共創の可能性」について語らせて頂きました。
「rootはデザイン会社として支援しているんですけど、内製でデザイン組織・体制をつくっていくことを共創しているのが特徴です。今、ここに登壇されている方がいらっしゃる会社はデザインリーダーがいらっしゃいますが、全体で見たときにマネジメントやリーダー層がいない構造になっている会社が多い。その中でデザイナーがいるけれど、組織でデザイン推進することができない会社に私たちが入っていき、体制づくりや組織構築を実践していくというのがrootの関わり方になります。」
「先ほどのマネジメントの話にも通じるのですが、組織の中でデザインをマネジメントする役割が不足している。なおかつデザイナーは組織の中で少数派になりやすいと思うので、間で板挟みになっているデザイナーは多い。ここを変えていくためにも、中で少数のデザイナーだけで押し込んでいくのは難しいので、外からノウハウを持った私たちのような会社が入り、一緒に構築していくのはアプローチのひとつだと思っています。」
これに対し、田中さんは「社外の方との共創は流れとして自然なことであり、事業会社でマネジメントをしている人は外部とコラボレーションできるケイパビリティと組織体制をつくっていかなければいけないと思っている」とおっしゃっていました。
また、野崎さんからは「プロダクトやサービスをつくる上で、インハウス(自社内)で完結しようとすると、色々なステークホルダーの意見を聞きながら、アウトプットが予定調和されたものになりやすい」と語られ、田中さんからも「事業課題を理解して、一緒にディレクションできるパートナーと協業・共創することでパフォーマンスを最大化できる」というお話しがありました。
さらに野崎さんは前職でのクライアントワーク経験を踏まえ、
「事業会社に移っても外部との共創はかなり良い。自分の経験上でもプロダクトやクリエイティブをつくるにあたって、自社内で完結しようと思ったときに多角的に物事を見づらい。どうしても最終的なアウトプットに落ちる時にいろんなステークホルダーの意見を聞き、予定調和になりやすい。外部の人が入ることで、そこを広げてくれるのもある。ただ、大事だと思っているのは「単純にこういうものをつくってほしい」というだけだと良くないと思っていて、自社のビジョンや文化と同じ目線に立ってもらえるパートナーがいいし、そういう目線を事業会社側からも渡していくことで初めて成り立つものである」とお話しされており、会場からも大きな共感を呼んでいました。
一方、古結さんは野崎さんの考えに共感しつつも、「ビジネスや事業側との接続が現状の課題になっている」点があることにも言及されていました。
パートナーとコミュニケーションを密にとり、事業側に理解を促進するような共有の仕組みをつくるなどを模索しながら進めてらっしゃるそうで、西村の考えやrootについてご質問いただきました。
西村は「rootは外から関わっていく立場ですが、かなり深い関係性をつくりたいと考えています。事業側にどう寄与していくかがちゃんと接続されていないと、やろうとしていることが実行に伴わない。最初からいきなり経営レイヤーに入っていくのは簡単ではなく、依頼されるお客さんもいきなりそこからはオーダーしてこない。ちゃんと現状のデザイン体制への期待を明らかにし、その中で成果を出していけるか。それを重ねていくことが大事。これに近い構造を中に入ってつくっていく。少しずつ経営レイヤーへの接続も少しずつしていく。それをしないと大きな課題を解決できない問題にぶつかるので、何をまず解決したいかは重なるように徹底したいと考えています。
さまざまな企業の支援に携わる中で感じるのは、コンサルティング的な立ち位置で入ってしまうと正解を求められてしまい、その流れではうまくいかない。一緒に実践していきながら、学んでいく。実践した結果、どういう学びがあったのかが重要。これを最大化できるかどうかが事業成果につながっていくパスになると考えています。」
と語っていました。
田中さんも「事業会社の人間もビジネスとデザイン、社内と社外のハブになるだけではダメで、しっかりとチーミングを行うことが必要」と話されていました。
まさに、rootでもいかに各社のカルチャーに寄り添い、チーミングを推進できるのか。まだまだ途上ではありますが、目指し続けて精進したいと考えています。
ーー3.ビジネスに寄与するデザインマネジメントの在り方
あっという間に40分のパネルディスカッションは終わりの時間が近づき、本題である、最後のテーマ「ビジネスに寄与するデザインマネジメントの在り方」についてディスカッションされました。
西村は、「自分は日々支援する中で、組織や事業など“法人格全体のデザイン”という見方をしています。法人格全体のデザインとして捉えることが事業とデザインの融合には重要だと思います。多くの組織において、デザインの目標を設定する際、事業上のKPIや指標などの数字だけを見て決めてしまいがちですが、それではデザインの良さを殺してしまっている。デザイナー側から、上(経営や戦略)にアプローチしてつくりにいける構造ができると組織・経営のレベルでデザインが活躍できると思います」と話し、これができているのはVisionalさんではないかと質問しました。
それに対し田中さんからは「各社ビジネスモデルや風土はそれぞれなのであくまで1つの例ではあるが、Visionalでは、P/Lにどれだけ寄与しているか定量化できる指標は定量化している。反対に数値化できないものは一切しておらず、そこはデザイナーが積み上げてきた信用貯金を使って、ビジネス上のデザインの重要性を話し、合意形成を取るようにしている。」とお話しされていました。
事業を成功させるためには、数字にコミットすることは大前提の中で、デザインじゃないと果たせない役割、ユーザー体験やブランドづくりにコミットする。経営やビジネスとアラインしながら推進していくことが重要であること。それぞれの経験や視点からディスカッションされた場となりました。
DPM・岸が「事業とともに成長するデザイン環境を目指して」をテーマにセッションパートで登壇
ここからは、登壇したトークセッションについてレポートしたいと思います。
今年は、2日間で60以上のトークセッションが行われました。「キーノートセッション」をはじめ、5つのデザインテーマから登壇者ならではの物語に迫る「公募セッション」、スポンサー企業の皆様による「スポンサーセッション」、そして「パネルディスカッション」「Designship 2023 Meetup」「スピーカーAMA」。
rootは2日目の午後より、「事業とともに成長するデザイン環境を目指して」をテーマに、デザインプログラムマネージャーの岸が登壇しました!Designshipでの登壇は初めて!彼にとってもチャレンジであり変化・成長となった経験となりました。
近年、先進的な企業による組織的なデザイン実践の事例が増えています。一方で、組織としてデザインをどう扱えば良いのかがわからない、デザイナーとして何処を目指していけば良いのか見えない、現場にはそうした声がまだまだ多くあります。
この問題を解決する1つの可能性として、事業・組織を横断しデザイン環境を下支えする、rootの取り組みについて、具体的な事例を交えながら岸の口から語られました。
組織的なデザイン活用という理想を実現するにはどうすればいいのか。rootが提案しているのが「事業とともに成長するデザイン環境」という考え方です。これを実現するために、rootでは大きく3つの取り組みを実践しています。
ーー①若い段階から始める
1つめが「若い段階から始める」ということです。事業や組織が成長しきったタイミングで組織的なデザイン活用に取り組むのは遅すぎます。早い段階からデザインの議論を組織内に起こすことで、組織にとっての当たり前になっていくのです。
ーー②組織での実践と学習
2つめが「組織での実践と学習」です。rootではクライアントから言われたものを作って終わりではありません。実践を通じてわかったこと、もっとできることを組織全体で振り返り、組織にとってのデザインの可能性を一緒に見出していきます。
ーー③事業の未来を見据える
そして、最後が「事業の未来を見据える」ということです。事業成長に対して、受動的な姿勢になるのではなく、成長を見越す。具体的には人が増えていく準備をしたり、効率化を図ったり、事業成長に合わせたデザインへの投資を計画に盛り込んでいきます。こうした取り組みを通じて、事業・組織とデザイン、クライアントと私たちが一体となって理解を深め、デザインへの投資を促しながら、その実践領域を広げていきます。
それにより、事業に関わる全員がユーザーに価値を届け、事業を育て続けるという共通の願いのもとで一体となっていけます。これが「事業とともに成長するデザイン環境」という考え方です。
rootは、「Design Doing for More〜デザインの実践を個から組織・事業へ〜」がVisionです。事業成長に寄り添い、デザインを実践する人たちを支えることができれば、より多くのことにデザインが活用できるはずと信じています。
このトークセッションの資料は、こちらで公開をしています。
よろしければご覧いただき、ご興味ある方や、お話ししたい!という方は
ぜひ、以下の、XやYOUTRUST等からご連絡くださいませ。
10月27日に六本木でイベントを開催!
この通り、「Designship 2023」はオフライン・オンライン併せて合計4,000名弱が参加するなど、大盛況のうちに幕を閉じ、rootのパネルディスカッション、セッションも多くの方にご視聴いただきました。ありがとうございました!
今回の「Designship 2023」では語り切ることができなかった、これまでの具体的な取り組みについて、事業の成長フェーズにおける事業課題をテーマにイベントを開催する予定です。
事業成長に合わせたデザイン環境の構築と、組織的にデザイン実践の推進を目指すrootのDPM支援モデルの実態や、事業フェーズごとの取り組みについて、CEO西村とrootのDPM3名がお話しさせていただきます。
<イベントの詳細>
タイトル root Design Meetup vol.8 事業と共に成長するデザイン実践のかたち〜DPMモデルとケーススタディ〜
日時 10月27日(金)18:45〜21:30
場所 SPOT六本木ミッドタウンサイド
ご興味のある方は、ぜひ上記よりお申し込みくださいませ。ご参加お待ちしています! ※応募者多数の場合抽選制となります。
rootでは共にビジョン実現できる仲間を探しています!
私たちは、「Design Doing for More〜デザインの実践を個から組織・事業へ〜」をVisionに、事業の成長によりそい、デザインを実践しようとする人々を支え、世界をより良く前進させていくことを目指しています。
共に、クライアントと事業の本質(芯)を見いだしながら、事業本来の価値をユーザーに届け、デザインの根源的な力を個から組織・事業へと広げることで、世界をより良く前進させていきたいという方!
ぜひ一度カジュアルにお話ししませんか?ご連絡お待ちしています!
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