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私とまぐろ昆布の佃煮②~再食

前回の話

再び味わう

母に聞くと、覚えているという。
『ばあちゃん、あの佃煮好きだったよね。
懐かしいね。来週、買いに行くわ。送ってあげる。』
と母。
ありがたい。送ってもらう間、スーパーを探しまわって
みたが、ない。関東には売ってないのだろうか。

そして、待ちに待った、まぐろ昆布の佃煮が届いた。
早速食べてみる。
甘辛くて、昆布と合うまぐろ。
ツナピコの感触に近いので、飲み物がなければ
のどを詰めるのでご用心。
そうそうこんな味だった。最後に甘い味が残るんだよね。
そして、ゴマがアクセントになってんのよ。
これはご飯にも合うが、大人になって、食べると、
ビールにめちゃめちゃ合うんじゃないかな!と発見。

夫にも勧めてみる。
『ばあちゃんが、よく買ってきてくれたんだよ。
美味しくてね、私もすきでさ。食べてみてよ。
小学生の時は、毎週末泊まりに行ってね。
それなのに高校生や大学生になって、
ばあちゃんに会いにいくことが
少なくなってさぁ
そのころから、ばあちゃんの様子が
おかしくなってきたって
母が気づくわけ。鍋をこがしたり、
飼い犬に餌あげる忘れたりしてさ、
で、急に気になって、ばあちゃんの様子を
家まで見に行ったのよ。
そしてさ、冷蔵庫を開けたら
この佃煮のパックが、たくさんあるの。
何個も何個もさ。
あー、ばあちゃん、ぼけちゃったんだなぁって
その時感じてさ。
辛くもあるんだけど、私がすきな佃煮が
たくさん、何パックもあって。
悲しいのに、うれしい、でも悲しい気持ち。
ばあちゃん、こんなに食べれないよって、
言いたいのに言えなくてさ。
私、本当に可愛いがられてたんだよ。
この佃煮、ばあちゃんが私のために、
何度も買ってきてくれたやつなんだよ・・・』
しゃべりながら、泣いてました。

あー、私、40歳の今の今まで、
この思い出に蓋しちゃってたなーって気づいた。
可愛がってもらってたのに、
思春期で自分のことだけで
時間使って、
ばあちゃんに優しくできなかったよなって。
佃煮を食べて、思い出したんだよ。いろいろ。

庭に咲いたあじさいをさ、
早朝に我が家まで持ってきてさ、
『ぎんちゃん、これ小学校に持っていき。』って
紫や青の綺麗なあじさいをくたこととか。
そんな出来事が、たくさんあったんだなって。

思い出の味、また日常にしたい味

食べた後に、母に電話。
『お母さん、この佃煮さ、定期的に送ってよ。
お金は払うからさ。』とお願いしました。
思い出の味を、この先、日常で味わっていきたいと。

幼少期の喜怒哀楽は敏感で、些細なことで
感動したり喜んだりすることも多かったけど、
大人になった今だから、新たに感じれることも
増えてきた気がします。

まさに、親のありがたみとか、ばあちゃんの愛情とか、
あとのき幸せだったんだなとか。
感謝ですよね。

まぐろ昆布佃煮
調べると、色々なメーカーさんから出ているようです。
私のばあちゃんが買ってきてくれていた佃煮は、こちらで
製造されていました。
製造所は、鹿児島のかねだい食品
ぜひ、機会があれば、ご賞味ください。



私は、まぐろの昆布佃煮が、大好きだ。


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