2023年度広島叡智学園入試分析(理数分野)【最新!】
こんにちは!公立中高一貫校対策のiBASEです。
4月2日に、広島叡智学園の最新R5年度の適性検査が公開されました。
出遅れましたが、この記事では理数科目(適性検査A)について、問題の具体的な解説も交えながら分析していきたいと思います!
R5年度国語分野の入試分析についてはぜひこちらをご覧ください!
※以下の記事は具体的な設問について言及しています。広島叡智学園に挑戦する方は、
「納得のいくまで」
「時間無制限で」
自分の力で格闘することをお勧めします。
過去の出題
ここでは、R5年度の問題分析の前に、過去の問題について触れています。『そんなことより今年の情報が欲しい!』という方は「R5年度の出題」までショートカットしてご覧ください!
R4年度までの出題構成・形式
R4年度までは、適性検査Aが2つの大問により構成されていました。制限時間は45分。
ご存じの通り、シンプルな計算問題などではなく、どの問題も長い問題文・図表から情報を集めて解き、解答に至った考え方も問われる形式です。年度によって構成や形式に変化が表れるのは広島叡智学園の特徴ともいえるでしょう。
すべての年度のすべての問題に当てはまるわけではないですが、共通して印象的だったのは
ということ。
だからこそ、限られた時間の中で導いた自分の解答に正当性があるか、検算し吟味する必要がありました。
R4年度までの出題テーマ
参考までに、過去の適性検査A 各大問のテーマをまとめてみます。
H31年度
大問1 条件を満たす計画を作成する。
大問2 条件を満たす献立を作成する。会話で進行する長文。
R2年度
大問1 条件を満たす計画を作成する。
大問2 実験の結果を予想し、それを確かめる。会話で進行する長文。
R3年度
大問1 条件を満たす図形の配置を考える。
大問2 条件を満たす計画を作成する。
R4年度
大問1-1 条件を満たす買い物リストを作成する。
大問1-2 条件を満たす図形の区切り方を考える。
大問2 条件を満たす計画を考える。
過去問の詳細について、詳しくはこちらをぜひご覧ください!
R5年度の出題
さあ、前置きが長くなりましたが今年の問題の分析をしていきましょう。
今年は明確に大問が3つに分かれました。その内容は
条件を満たすチーム分けを考える問題
図形描画を題材にしたプログラミングの問題
実験の結果を予想し、それを確かめる問題
となります。
長い文章や図表から条件を読み取り、自分の考え方とともに記述しなければなりません。頭の中で論理立てつつ、とにかく手を動かして解答の形を一度作ってみる、というアプローチが重要になってきます。45分という限られた時間の中、その配分にも気を配る必要があります。
これまでの傾向に沿った大問1と大問3に加え、新しい角度から図形問題が出題されました。今回は、この大問2に注目しようと思います。
プログラミングをテーマにした出題
先述のように、これまでの適性検査Aでは図形問題が計2回出題されています(R3、R4年度)。
これらは、従来の平面図形問題をテーマに、「単位面積あたり」の考え方を中心に問うものでした。
ですが、今回はプログラミング的思考が求められる問題。
星形正五角形を描くために、どのようなプログラムをつくる必要があるかを考えます。「星形正五角形を描く」という目的のために、与えられた説明の中から必要な命令をひとつひとつ取り上げ、組み立てていきます。
具体的な方針
出題の意図について考察する前に、この問題を解くにあたっての方針を具体的に解説していきましょう。
先ほども述べましたが、どのような問題においても重要なのは「課題に対して解決の筋道を立てること」です。
大問2中 資料2には、「使用することのできる命令」、「プログラムの例」「プログラムをつくる画面」が記載されています。つまりは解答方法です。
ここでこの問題におけるルールを確実に抑えましょう。
我々に求められているのは、「星形正五角形」の描き方です。キーとなるのは問いの中の
という部分。回数制限が設けられていることから、いったん最短の手順で星形正五角形を描くことを考えてみます。最短で描く、つまり「一筆書き」です。星形は5つの辺を使って描くことができます。
星形正五角形の大きさは問われていないので一辺の長さは自由、そして正五角形であることから角度も計算できますね。
どのような手順で線を引いていくかがわかれば、それをルールにのっとってプログラムに表現していきます。
"プログラミング的思考"
今回大問2で問われたこの「プログラミング的思考」とはどのようなものでしょうか。出題の意図とともに考えてみましょう。
実はこの言葉、文部科学省が次のように定義しています。
つまりプログラミング的思考とは、「目的を達成するための道筋を立て、それを順序だてて説明する力」と言えます。難しいプログラミング言語を使いこなす力というよりも、もっと抽象的な思考法なのです。
ここ最近、OpenAIのChatGPTを筆頭にAI(人工知能)に関する話題が後を絶ちませんよね。情報技術の進化は目まぐるしく、「働き方」「個人が求められる力」はそれと同時に変化し続けています。それに伴い、学校教育の姿も変化しつつあります。
今後の社会でより一層求められるであろう、プログラミング的思考。その基礎基盤を問題にしていることは間違いなく、広島叡智からの強いメッセージだと考えられます。
まとめ
さて、いかがだったでしょうか。今回は、これまでの出題概要をさらいつつ、広島叡智の問題の中で目新しいテーマとなったプログラミングの問題をピックアップしてみました。
大問1、大問3については深く触れられませんでしたが、どちらも広島叡智らしい問題だったと思います。
総じて、長い問題文に惑わされず、解答に至るまでの論理・筋道をいち早く組み立てる力と、自分の考えを順序だてて説明する力がカギとなります。
もちろん、論理に基づいた計算を素早く行う力も必須です。冷静に、かつ手は早く動かす。日々触れ合う問題一つ一つに、その意識をもって取り組みましょう。
冒頭にも書きましたが、広島叡智学園の問題に挑む際はまず、「時間無制限で」「納得のいくまで」自分の力で取り組みましょう。