見出し画像

広島叡智学園のグループワークって、どんな問題?(2020年度)

こんにちは!公立中高一貫校対策のiBASEです。
今日は2020年12月26日に実施された、広島叡智学園の第二次選抜(グループワーク等)の出題について紹介・解説を行います。

最新年度(2021年度)の出題内容や、広島叡智学園がグループワークを課す意義については、以下の記事でもまとめています。併せてお読みください。

2020年度の出題内容

新型コロナウイルスの影響でグループワークを伴う選抜を中止する学校も多い中、広島叡智学園は「フェイスシールド持参」の形で実施されました。グループワークの出題は大きく2つだったようです。どちらのワークも、5人程度のグループを作って実施されました。

1.「幸せとは何か」について考えるワーク
2.「ピンポン玉を長く転がす方法」を考え試すワーク

それぞれについて、詳しく見ていきましょう!

1.「幸せとは何か」について考えるワーク

大きく次の3つのプロセスに分けて進行されたようです。

①「幸せとは何か」についてまず考えてみる
最初に個人で考え、その次にグループで考えるという定番の流れで実施されました。

②4枚の写真を見て改めて考え、まとめる
①で受検生それぞれの「幸せについて」の価値観や考えを一旦形にした後、4枚の写真が提示されます。ここでは、①で考えた内容を揺さぶったり更新したりさせる写真が提示されたことが予想されます。こうした経験を経て、改めて個人で「幸せ」についての内省の時間が取られます。その後グループで「幸せ」の要素や内容を、3つにまとめるよう指示が出されます。  

③「幸せ」に生活するために、どうすればよいかを考える
②でまとめた3つのことについて、「そんな風に幸せに生活するためにはどうすればよいか?」について考えるように指示が出されます。1つのことについて、それぞれ3つずつ自分たちにできる手立てを考えるような問いが出されたようです。

2.「ピンポン玉を長く転がす方法」を考え試すワーク

「ピンポン玉」「発泡スチロール」「つまようじ」が道具として渡されます。いわゆるパチンコの要領で、つまようじによって玉が転がるコースを作ります。指定の位置からピンポン玉を転がし、なるべく遅く(長い時間をかけて)ゴールまでたどり着くコースを設計するという課題が出題されました。

出題内容の考察

過去の出題や傾向については以下の記事でまとめていますが、今年はその内容にやや変化が見られました。

2の「ピンポン玉」のワークについては、これまでの傾向分析にもある「課題解決型」の出題であったと言えます。これは、与えられた課題をよりよく達成するための協同作業が求められるワークで、例年工作を伴う出題でした。「①課題を正しくとらえる」「②プロセスを作り込む」「③他者を理解しチームを導く」という3つが問われる内容であることは、上記の記事で解説の通りです。

やや変化が見られたのは、1の「幸せ」についてのワークです。これまでは、「討論」や「新しい価値創造」という、言うなれば【外向き】の傾向が見られたのに対し、今年は受検生の価値観やモノの見方・考え方についての問い深い内省や振り返りを求める、【内向き】の色合いが強くなりました。

こうした変化の背景は、学校から明確に提示されたわけではないので想像することしか出来ませんが……入試問題は受検生への「メッセージ」である側面を鑑みると、やはり新型コロナウイルスがもたらした今の社会情勢を反映しているという見方は、間違いないのではないかと思います。

コンピテンシー重視の教育によって、これまでは未来に予測される困難な状況を打破したり、解決したりする人材の育成が叫ばれてきました。ゆえに様々なスキルやスタンスを育むことが、「未来からの逆算」によって設定され、それを測る選抜が試みられていたような気がします。しかし、今回のコロナウイルスによって、この時代がまさにVUCA(=予測不可能)な時代であることを、私たちは痛感しました。

未来がどうなるか分からない世の中において、今はまだない課題を解決できる子どもを育てるということは、かなり大それた、ほぼ不可能に思える取り組みです。そういう立場から考えてみると、今回のように選抜が【内向き】化していることの意味がよく分かる気がします。

未来よりもむしろ、今ここにいる自分を深く理解すること。そして他者との関わりや外部からの刺激を受けて、柔軟に自分のモノの見方を更新できること。そして内発的な動機に従って自分の行動指針が立てられたり、それを他者と共有できたりすること。こうした「未来からの逆算」ではなく、「今を起点とした」世界づくりが出来る人材を、今年の広島叡智学園は求めていたのではないでしょうか。そういった意味で、今年はより【内向き】な出題が見られたのではないかと、iBASEは考察しています。

おわりに

ちなみに、全国のグループワーク型入試を見渡してみると、東京都のかえつ有明中学校(2019年度)にも、今回の広島叡智学園と同様に「幸せ」という概念について深堀する内容の出題が見られています。同傾向の学校としてマークしつつ、トレーニングの1つとして活用することをおススメします。(※下リンクより「アクティブラーニング思考力特待入試」をご覧ください。)

対策講座はコチラから

今年度(2022年度)も、以下の概要の通り「第2次選抜 対策講座」の開講が決定しました!昨年度、大好評につき定員を締め切らせていただいた人気の講座となります。ご受講をご検討されている方は、お早めにお申し込みをお願いいたします。


いいなと思ったら応援しよう!