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その瞬間は一生懸命 それでも必ず将来につながっていくはず ~医療法人博仁会 まちづくり推進室長 西村 和也 氏~ VOL.2

 今回は、医療法人 博仁会 まちづくり推進室長で、コミュニティカフェ・バンホフの店長でもある西村 和也氏に、”カフェオープンのきっかけ” や ”まちづくりに懸ける想い” を伺いました。

VOL.1はこちら ⇊


VOL.2 日常生活の中で接点を作りかった・・・

『コミュニティカフェ・バンホフ』は、出前を行うだけでなく、キッチンカーも所有している。

 キッチンカーと言えば、言わずもがなイベントやマルシェに出店し、利益を出したいと思うものであるが、西村さんは大きなマルシェではなく、むしろ小さなマルシェを優先して出店するようにしているという。
 
「小さなマルシェの主催者は、イベント開催自体が初めてという方も多く、集客面が心配でキッチンカーを呼ぶのに躊躇されることも多いと思います。
 私たちは、主催者の心理的安全性ではないですが、そういったところでも力になりたいと思っているんです。
 キッチンカーとしては、採算が取れないことも多いですが、お店のランチ運営など全体でカバーしています。」

バンホフのキッチンカー マルシェの大きさに関わらず出店してくれるのは、主催者にとってどんなに心強いことだろう


 表面的にではなく、”根っこから地域の方や、頑張る人を支えていきたい。” そんな想いが感じられる西村さんの言葉。

 そもそも、なぜ医療法人がカフェをオープンしたのだろうか。 


「実は、医療法人はカフェを運営することができないので、有限会社としてバンホフを運営しています。
 最初は、「誰でも、気軽に立ち寄れる場所があったらいいよね。」というコンセプトで始まりました。

 医療・介護・福祉は、必要になった時に利用される言わば、“非日常の空間” という感覚を個人的に持っています。
 一方、地域の方が元気なうちから日常生活の中の出来事として、医療・介護・福祉を気にすることができる接点を作りかった・・・。

 病院や施設じゃない所に “場所”  があるという事に意味があったのです。」
 
 西村さんの言葉通り、バンホフはカフェ営業とは別にコワーキングスペースの運営も行っており、会議室としての時間貸しや貸切パーティプランがあるほか、毎月様々なイベントが開催される。チャレンジショップとしても活用できるという。
 
「最初は、月1回イベントを開催してしましたね。「熱中症予防教室」や「みんなでオカリナを聴こう」、「一緒にクッキーを作ろう」などです。

小さな子どもからお年寄りまで、みんなで楽しんだというクッキーづくり

 “ 生きがいを失うと、健康が損なわれる” という考えがあります。だから、「生きがいが健康に繋がる」をコンセプトに、病気や怪我で思うように動けなくなった方を先生に迎え、イベントを開催しました。

 それが波及して、病院のイベントとして開催したり、病院もバンホフも関係なく、小さなマルシェとして開催もしました。

奇数月の最後の土曜日に開催される『ヨイチ』


 でも、これはバンホフとしてではなく職員の有志団体『フロイデDAN』としての活動なんです。」
 
フロイデ団? 新しいワードだ。
 
「グループ名にもある「フロイデ」は“喜び”、そして「DAN」には “団結” や “暖かさ” の「だん」をアルファベット表記しました。

フロイデDANは、自分たちから積極的に地域へ出ていこうという想いを持った若手職員で2010年に立ち上げました。

 当時、地域と病院という存在の間には壁があり、病院の名前で地域に出ていっても「何しに来たの」や「何の営業だ」と言われることもありました。

 そこで、自分たちの想いだけが伝わるように、任意団体という形で活動しようと フロイデDAN を立ち上げました。」
 
現在、フロイデDAN のコアメンバーは7名ほど。
最初は、少しずつ自分たちでお金を出し合って活動していたという。

フロイデDANは、作業療法士・介護福祉士・福祉用具専門相談員・看護師等 様々な医療・福祉分野の方が関わっている


「たまたま、自分の近くに同じ想いを持ち、実現できる同世代の同僚がいたからできたんです(笑)。
 そのうち、まちづくり推進室ができて、医療法人としてオフィシャルにまちづくりに取り組むことができるようになりました。」
 
 そう言って笑う西村さんに、これからの目標を伺った。

VOL.3へ続く