おうちゴールデン・ウィークは、 《相手の気持ち》 になって 《言われてみれば欲しかったもの》を発想し、《もうひと手間》 かけて 《愛着が生まれる余地》 のある企画にして、みんなで素敵な時間を過ごす (大変な状況のなかでの暮らしのヒント)
ゴールデン・ウィーク(GW)に入りましたね。
今日は「GWスペシャル☆」ということで、4つのコツを紹介しちゃいます!
その4つというのは、《相手の気持ち》、《言われてみれば欲しかったもの》、《もうひと手間》、そして、《愛着が生まれる余地》です。
今年のゴールデン・ウィークは、どこにも遊びや旅行に行けませんね。
しかも、これまでも家にいることが多かったので、せっかくの長めの休みなのに、これまでと同じように過ごしてしまいそうです。
でも、ゴールデン・ウィークが明けると、もしかしたら子どもたちの学校が再開するかもしれないし、自分の仕事も新たなフェーズに入る可能性もあります。
そう思うと、このゴールデン・ウィークは、ゆっくり休みながらも、少し違うことをしてリフレッシュしたいものです。
そこで、今回は、おうちゴールデン・ウィークの楽しみ方について、考えてみたいと思います。
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本当ならどこかに遊びに行けただろうゴールデン・ウィークが、ただただ家で過ごすことになってしまったわけです。
子どもの気持ちになって考えると、きっと、これまでと同じような日々がただ続くのはつまらないでしょう。
5月始めに赤い文字(祝日)が並んでいるカレンダーを見てどう思っているでしょうか?
何か特別な、スペシャルなことが起こってほしいと思っているんじゃないでしょうか。
こういうとき、誰かにおもてなしをするときには、《相手の気持ち》になって、その人が何を望み、どうするとうれしいのかを考えて動くことが大切です。
しかも、もしそれが、本人が無意識に思っていても意識的には考えていなかったものだったら、「わ、すごい!これがしたかった!」と気づくでしょう。
「どうして、わかったの?」と、驚かれるかもしれません。
そう言って、その人は、その《言われてみれば欲しかったもの》を前にして喜びます。
もちろん、私たちはおもてなしのプロではないですから、初めて出会った人の気持ちをつかむことは難しいかもしれません。
でも、家族がどんなことを考えているか、望んでいるかは、これまでの経験からなんとなくわかるはずです。
そうやって考えていくと、家族が喜ぶような何か素敵なアイデアが思いつくものです。
こんなことがあったら、ワクワクするだろうな。
こういうことは、いつもと違ってスペシャルだな。
そういうことを《相手の気持ち》を想像しながら、自分の気持ちにも照らしながら、考えていくのです。
普通だったらこう、という制約を外して発想します。
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そうして、何かアイディアを思いついたら、《もうひと手間》加えて、参加する人たちに《愛着が生まれる余地》が生まれるようにします。
どういうことかというと、すべてのことをこちらで決め込んでしまうのではなく、相手の選択の自由度を残しておくのです。
そうすると、自分で選ぶことができるというところに、楽しさ・うれしさを感じます。
我が家の子育てでは、何かをやるときには、多かれ少なかれ、そのような自由度があるようにすることを大切にしています。
本当は、こちらですべてを決めてしまった方が楽なのです。
でも、そこで《もうひと手間》かけて、ちょっとした自由度をつくるようにするのです。
そうすることで、自分で選んだということから、そのことに愛着が湧くのです。
以上をまとめると、《相手の気持ち》 になって 《言われてみれば欲しかったもの》 になるようなアイディアを考え、《もうひと手間》 かけて 《愛着が生まれる余地》 があるような企画にする、ということです。
こうして、みんなで素敵な時間を過ごすのです。
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さて、それらの実践として、我が家では、昨日、おうちゴールデン・ウィークをこんなふうにスタートしました。
庭にテーブルを置き、夕方からピザを食べながら飲む「アウトドア・ディナー」。
これ、一昨年から昨年、僕が家族と住んでいたアメリカのオレゴン州ポートランドの家で、たまにやっていたんですよね。
向こうは庭が広く、そういうことをしやすい造りになっていて、やりやすいんです。
庭でバーベキューをする人も多いですが、僕らはよく、もっと手軽に、買ってきた冷凍ピザを焼いて庭に出したテーブルで食べていました(Red Baronという冷凍ピザが、僕らのお気に入りでした。日本でも手に入るといいんだけどなぁ)。
そのときの雰囲気は、こんな感じ。
とても気持ちがよく、家族の素敵な思い出です。
これを、日本でもやってみよう、という発想です。
日本だと、夏に蚊が多いし、蒸し暑いので、なかなか快適にはできません。
でも、5月のこの時期は、蚊もいないし、暑すぎず寒すぎず、ちょうどよい感じです。
子どもたちも大喜びです。
そんなスペシャルなことを待っていた!という感じ。
自分では思いつかなかったけど、《言われてみれば欲しかったもの》というわけです。
今回、最初は、駐車場のところでやるのがスペース的に楽だなと思ったのですが、最終的には、周りに緑が多くて雰囲気がよく、ダイニングからすぐに出れるデッキのところでやることにしました。
そのため、僕は朝から、野菜を育てるプランターで敷き詰められていたデッキを片付け、水で流して掃除し、日中乾かすという準備をしました。
外に出すテーブルは、最近子どもが工作用のテーブルとして使っているものにしました。
普段使っているダイニング・テーブルは重く、また汚れると嫌なので。
工作用のテーブルと言っても、もともとは、子どもが生まれる前に夫婦のダイニングテーブルとして使っていたもので、サイズ的に小さく、古くなったので、子どもが使えるようにしたというものです。
椅子は、来客時のための折り畳みの椅子や、日頃は使わなくなった幼児用の椅子など、すべてバラバラですが、家から持ち出せるものにしました。
そして、せっかくだから、ピザを自分たちでつくろうということに。
ちょうど家に冷凍ピザのストックもなかったし、自分たちでつくると楽しくておいしいですしね。
そんなわけで子どもたちと、ピザづくりをしました。
生地は僕が焼き、それを伸ばして具を乗せるところから、子どもも参加。
いろいろな具材を切ってお皿に入れておいて、子どもたちは具とソースの組み合わせを選んで置いていきます。
「何を乗せようかな」と考えて、ワイワイと楽しくつくる。
こうやって自分でつくると、愛着が湧きます。
親がささっとつくってしまう方が圧倒的に早くて楽なのですが、みんなでつくるための準備という《もうひと手間》かけることで、自分で選ぶことができる《愛着が生まれる余地》が生まれるのです。
そして、「こっちは、私がつくったピザだよ」とか言いながら、楽しくおいしく食べることができます。
ピザは、食器も少なくてよく、外で食べるのに好都合です。
うちでは、大人はその日の気分に合わせて、だいたいスパークリングのCAVAか、赤ワインを飲んでいます。
開放的な外の空気の中で飲むのは、最高です。
今年は花見も行けなかったですしね。
近所迷惑にならないように、音楽は部屋の中からiPadでかけました。
ノリのよい音楽が流れると、子どもたちが踊ったりして、さながらアウトドアのパーティーのような夕暮れ。
暗くなってしばらくの間、外で気持ちよく過ごしました。
これが、我が家の「おうちゴールデン・ウィーク」のひとつの企画でした。
これは、一度やると子どもたちが何度もやりたくなるので、まずは早々にやりました。
今週、何度かやることになると予想しています。
ゴールデン・ウィークの今週はそれもよいかなと思っています。
普段は、セッティングから片付けまで、バーベキューほどじゃないけど、時間と労力がかかるので。
次はピザではなく、パスタとか、そういう食器が少なく、外で食べやすいものでやることになると思いますが、3回目はまた、ピザになりそうな予感です。
ちなみに、うちは庭でやりましたが、ベランダでもよいでしょう。
そう思っていたら、友人から昨日、ベランダで同様のことをやったという話を聞きました。
それぞれの環境に応じて、自分たちなりの、ちょっといつもと違う企画を立てる。
そんなおうちゴールデン・ウィーク、いかがでしょうか?
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いまのは少し大掛かりですが、もう少し手軽なものも2つ紹介したいと思います。
まずひとつめは、我が家で大ヒット中の「夕食バイキング」です。
子どもって、旅行に行ったときの、レストランのバイキングって大好きじゃないですか。
しかも旅行とセットになって記憶されているから、楽しい記憶と憧れもある。
それを、家の夕飯でやってしまおうという企画です。
でも、バイキングの準備って大変そう……と、心配にならないでください。
用意するご飯は、だいたいいつもと同じなんです。
それぞれの小分けのお皿には入れなくて、まとめてお皿にいれて、並べておく。
バイキング風にするポイントは、大きめの皿にご飯を置いておいて、それを子どもに渡します。
ご飯は、お茶碗に入れたものをひっくり返して、丸くすると雰囲気が出ます。
そして、そのお皿に、自分が好きなものを乗せていくんです。
好きなものといっても、ある程度、栄養バランスのよい食事をしてほしいので、横で「お野菜も少し取ってね」なんて言います。
これは、レストランのバイキングでも同じですね。
そんなふうにして、自分で自分の皿に取っていく。
好きなものは多めに取ったりして。
これが、《愛着が生まれる余地》です。
品数がそこそこある方がバイキングらしくなるので、その部分が、《もうひと手間》をかけたところというわけです。
といっても、ブロッコリーを湯がいたのを加えるとか、そういうレベルですけれどもね。
そして、我が家の夕食バイキングが人気なのは、もうひとつ秘密があります。
このバイキング形式のときには、テレビの前の床座りの小テーブルのところで、テレビを見ながら食べていい、という特別ルールになります。
これで、子どもたちは、めいめいに自分で選んでつくったお皿を持って、テレビの前のテーブルい行きます。
そのとき、大人はというと、いつものダイニング・テーブルで食べて飲みながら、落ち着いた時間を過ごします。
新型コロナのことのシビアなことなどは、あまり子どもの前では話さないようにしているので、こういう機会に、そういうニュースの話や仕事の話などを、大人だけでできます。
その意味で、子どもにも大人にもうれしい企画なのです。
こちらにもメリットがある方が、《もうひと手間》をかける気になりますからね、この点は重要です。
そんなわけで、我が家では、子どもたちが「今日の夜も、バイキングでいい? いい?」と聞いてくると、「そうだね、そうしようか!」と大人も乗りやすいのです。
家のなかで、夕飯時に、大人だけで飲みながらゆっくり話せる機会なんて、なかなかないですからね。
これが、我が家の大ヒットの一つ「夕食バイキング」です。
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もうひとつは、ランチに関するものです。
大人も子どももみんな家にいるので、朝・昼・晩と三食つくることになりますよね。
自分だけなら、ふだんなら昼は外食にしたり、残り物を適当に食べて、みたいになると思いますが、子どももいて、人数も多くなると、そうはいきません。
三食しっかりつくるのって、大変です。
また、家族の人数と、冷凍のパック○人前の人数が合わなかったりして、1人前だけ残ってしまうとか、よくありませんか?
普段なら、自分が昼に食べてしまったりするわけですが、いまはそういう感じにもならない。
そんなわけで、ランチをつくるのを軽減したいというのと、半端に余ってしまっているものをなんとかしたいということから生まれたのが、我が家の「定食屋さん」方式です。
紙に、残り物の一覧を書き出して、メニューをつくります。
そして、家族の一人一人に、どれを食べたいかの注文を取ってまわります。
「これは、残り1人前しかないんですよね」というものを、もし二人が食べたいと言うのであれば、半分ずつにしてもらい、その分、他のものも選んでもらいます。
そうやって、注文をとって、それを準備します。
残り物を温めたり、冷凍食品を電子レンジでチンしたり。
さっとつくれるチャーハンなどをメニューに加えておいたら、注文が入れば、それもつくります。
そして、それをみんなで食べるわけです。
テーブルでは、それぞれが違うものを食べています。
家庭の風景としては、そこだけ見たら「どうしちゃったの?なんでみんな違うものを食べているの?」という感じですが、定食屋さんなら、よくある光景です。
こうすると、ある程度の自由度のなかから自分の好きなものを選ぶことができ、それを食べることができるので、うれしいわけです。
すべてをこちらが決め込まずに、《愛着が生まれる余地》を残して提供する、ということです。
メニューを書いたり、違うものをいくつも温めたりするので、《もうひと手間》かかってしまうと言えばかかります。
でも、残り物がきれいにはけていくので、こちらも嫌な気はしません。
そのくらいの手間、たいしたことないですからね。
定食屋さんの名前は、ちょっと「おもしろ化」して、遊びのある名前にします。
うちでは、井庭(いば)の名前をもじって、「いにわ亭」という定食屋の屋号にしました。
そんなふうに、ちょっと遊びが入っていることも、おままごとみたいな感じも出て、子どもたちも楽しく参加してきます。
最初にやったとき以降は、子どもが注文を取る人になりたいということで、そういう参加もしてもらっています(係の取り合いで喧嘩になるときもあって、面倒くさ……と思うときもあります)。
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以上、「アウトドア・ディナー」、「夕食バイキング」、「定食屋さん」という、我が家の3つの実践を紹介しました。
他には、以前からやっているのは、「ムービーナイト」と言って、みんなでテレビの前でご飯を食べながら映画を観るという夜です。
うちは、テレビを見る習慣がない(親もなるべく見ないようにしている)ので、スペシャルな企画になるわけですが、日頃から見ている家庭には、普通のことに過ぎないかもしれません。
以上のどれも、ゴールデン・ウィークでなければならないものではありませんが、ゴールデン・ウィークのスペシャル感を出すために、気に入ったものを、この機会にやってみるのもよいかもしれません。
やっていてよかったら、今後も、土日とかにやってもいいですしね。
すでに気づいている方も多いと思いますが、今回紹介した例は、どれも食事に関するものです。
そのことは、ひとつのポイントだなと思っています。
なかなか新しいことを追加で何かをやるのは、時間的に厳しいですよね。
大人は仕事も家事もあるし、子どもも意外と忙しいんですよね。
宿題しなきゃ、ゲームしたい、テレビみたい、兄弟で遊びたい……と。
だから、新しい何かを導入するのではなく、どちらにしろ必ず時間を取ることになる食事を楽しくいじるというのがやりやすく、効果が大きいのです。
以前は、給食や外食といろいろなタイプの食事の機会がありましたが、今は毎日、毎食、家で食事をしています。
そうなると、ちょっと飽きてきますよね。
でも、食べないわけにはいかないし、家族がコミュニケーションをとれる絶好の機会でもあります。
なので、食事を面白く変えていく、というのがよいのだと思います。
おうちゴールデン・ウィークは、《相手の気持ち》になって《言われてみれば欲しかったもの》を発想し、《もうひと手間》加えて《愛着が生まれる余地》があるようにして、みんなで素敵な時間を過ごす。
ぜひ、いろいろな工夫をしてみて、こんなことやったよ、という話があれば、ぜひ教えてください。
僕もみなさんが何をしたのか知りたいし、参考にしたいと思っています!
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今回紹介したもののうち、《相手の気持ち》と《もうひと手間》は、おもてなしのコツで、『おもてなしデザイン・パターン インバウンド時代を生き抜くための「創造的おもてなし」の心得28』に収録されているものです。
そして、《言われてみれば欲しかったもの》と《愛着が生まれる余地》は、企画のコツで、『プロジェクト・デザイン・パターン:企画・プロデュース・新規事業に携わる人のための 企画のコツ32』に収録されているものです。
家での家族の時間・経験をプロデュースするということには、おもてなしの側面と企画の側面があります。
そのようなことから、これらのコツが、おうちゴールデン・ウィークや外出自粛の暮らしに役立つのです。
この機会に、おもてなし企画の力を磨いちゃうことにしましょう!