UC Berkeley Business Schoolからの手紙⑧(面接の原則)※スキルチェックテスト付き
さて、今回は日本でも選考の手法として最も一般的である「面接」についてご紹介していきたいと思います。
日本では、コンピテンシー面接、ケース面接、集団面接、圧迫面接、グループディスカッションなど、「それって面接の種類じゃないけど...」というものもすべて面接の種類をして認定されているところがありますが、そもそも面接とは?というところをきちんと整理できればと思います。
1. 面接は、どれだけ重要か
まず初めに、面接は完ぺきな選考方法ではありません。「面接を完璧にすれば欲しい人材が採用できる」というような特別なテストではなく、あくまでもひとつの手段・方法です。逆を言えば、測定できないものもあるという事になります。従って、面接は「とりあえずやればよい」というものではなく、きちんと考えて準備することが必要なのです。具体的には、その準備を構造化と言います。構造化(体系化・標準化)されていない面接は、信頼性が低く、継続的な発展が望めません。
日本でも人事部のみならず現場社員まで、多くの社員が採用活動に関与するようになりました。これ自体はとてもいいことですが、トレーニングを受けていない面接官は、さまざまな知覚的、判断的な誤りを引き起こしてしまいます(質問が候補者によって変化し、評価が彼らの直感的偏見に基づいてされることが要因とされています)。
従って、最も信頼性と妥当性が高い面接を実施するためには、「質問を標準化」し、「スコアに紐づく回答例」というようなマニュアルを作成し、かつその内容について面接官同士で共有議論されていることが必須です。アメリカのとある企業では行動心理学のドクターを取った社員が専属のチームとしてマニュアル作成をしていました。スピード感と信頼性を考えれば外部の専門家を頼ることがお薦めですが、外部の専門会社に依頼しない場合でも、採用チームと面接官で共有し、議論する場を設けていただくことをお勧めします。
2. 構造化面接をするために必要なもの
改めて整理をすると、以下のものが必要になります。
① 評価項目(リーダーシップ、主体性、等)
② 評価項目のレベル定義
③ 評価項目ごとの標準化された質問
④ 面接官向けの評価表(評価シート)
上記がなければ、「自社の面接は構造的でない」とレビューすべきです。私がお手伝いをする際に使うものを記載しておりますので、具体的なイメージとして以下のものを参考にしてください。
サンプル1:評価項目とレベル定義
サンプル2:標準化された質問
・あなたの役割はなんですか?何が求められていましたか?
・役割に対して、どのような業務がありましたか?
・役割を遂行する上で、最も苦労したことは何ですか?
・役割を遂行する上で、自ら取り組んだことは何ですか?
3. 質問タイプと面接方法
それでは、面接に関していくつかの種類を見ていきましょう。どんな形式で行うのか、どんな質問を投げかけるのか、この2つによって面接の形が決まってきます。
(1)質問タイプ
① 状況判断に関する質問(例:あなたが弊社のチームリーダーになったとしたら、最初の3日間で何をしますか?)
② 行動事実(過去)に関する質問(例:あなたが顧客から大きなクレームを受けた時を思い出してください。どんなクレームで、あなたは何をしましたか?)
③ 興味関心に関する質問(例:あなたは大学で何の授業が一番好きでしたか?※仮に、広報が募集ポジションだった場合、ジャーナリズムやパブリックスピーチなどに関する授業が好きであるか否かを聞き出す事が目的となる)
④ ストレスに関する質問(例:なぜ前職を辞めたのですか?)
(2) 実施方法
① 面接官や参加者の人数(個人 or 集団)
② 回数(複数回、または一度)
③ テクノロジー(オンライン、または対面式)
④ 質問の仕方(フリークエスチョン、構造的質問、ディスカッション)
⑤ 評価の仕方(面接官独自の基準、構造的評価)
3. 引き起こされるバイアスとエラー
次に、注意点です。人間が行う判断というものは多くのエラーを引き起こす可能性を持っています。もともと人間が持つバイアスとその評価の仕方から生まれるエラーを簡単にご紹介します。
(1)知覚過誤(解釈の違いの原因)
・理想の候補者に対する強いステレオタイプ
・前後の応募者に評価が影響される
・類似性バイアス(共通項)
・身体的魅力(かわいい、かっこいい含め)
・否定的な情報(マナーが悪い、借金があるなど)
・評価バイアス
ー不明確な判断基準(ばらばらな基準での評価)
ーハロー効果(一点に集中して全体評価する)
ー中心傾向(白黒させたくない)
ー寛大化or 厳格化(全体的に同じ結果)
ー人種/性別的な偏見
(2)判断ミス(の原因)
・スナップ判定(感覚的にさっさっさと評価をつける)
・仮説的な判断(きっと・・・だろうでなんとなく決める)
・情報量(余計な情報多すぎ、少なすぎ)
4. どうすれば信頼できて妥当な面接ができるか
「何を測定しているのか」を意識しすることが最も重要です。そして、「私たちは無意識にバイアスを持っている」ということを意識しましょう。過去の行動事実や与えられた状況に対する判断やその理由から、KSA(知識・技術・能力)を測ることを忘れないでください。面接へ臨むために人事として行うべき準備をまとめると以下の通りになります。
<面接を行う前のチェックリスト>
・面接で見抜くべきKSAsを明確にする(学力などは面接よりテストのほうが有効)
・すべての候補者に質問するための標準化された質問リストを作成する
・仕事関連の質問(状況、行動、サンプル、過去の行動)を質問する
・得点基準となるキーワードを作っておく
・面接後に評価表へ記入する
・面接官に正しい採点のつけ方を教える
・面接官に面接エラーを回避する方法を教える
5. 面接官向け基礎スキルチェック
以下に面接官としての基礎スキル理解テストを貼っておきますので、ぜひご興味のある方は受けてみてください。
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