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【HR豆知識Vol.31】HRのグローバル資格(人事キャリア)について/HRCI(PHR,SPHR,GPHR,etc)

なぜ書くか

様々な情報が飛び交う現代において重要になる中、日本に住む約1億人にはグローバルでの最新の取り組みやトレンドを学ぶ機会が多くありません。Every Inc.では「HRからパフォーマンスとワクワクを」というビジョンを掲げ、グローバルな取組みやアカデミックな文献からD&Iに関する歴史、取組み、事例など”日本なら”ではなく、”グローバルスタンダード”な情報を提供しています。

「資格を取ったらどう?」

2018年の夏に渡米留学をした私は、HRの専門家でUCバークレーで40年教壇に立つCristina G Banksの授業をとる機会に恵まれました。最後のアサイメントも提出し成績が出たタイミングで、「将来どうしようかな」と思っていた私は、改めて彼女にキャリアのことを相談しに行きました。

「私はもっとこの人事や組織の領域においてもっと専門性を身に着けたい。どんな学びをするべきなのか?」
「チームビルディング(MBTIやストレングスファインダー)やコーチングに関する資格などはアメリカでも評価されるものか?」
「アメリカで人事のポジションにつくことを目標としたら何が必要か?」

そんなことを彼女に聞いてみました。

そこで

「資格を取ってみたらどう?アメリカにはHRCIやSHRMという団体が"人事"というポジションに関する資格を提供していて、あなたが私の授業で学んだ事とも繋がっているから"人事のプロフェッショナル"を目指すなら勉強する価値もあると思うし、就職などにも活きると思うよ」

これが私がHRの資格勉強をするきっかけとなる会話でした。


私が取得した資格は

SHRM-SCP(SHRM)
Senior Professional in Human Resources – International (HRCI)
Global Professional in Human Resources (HRCI)

2024年10月時点で、結果的に3つの公式資格を保有することとなりました。この内容について解説をしていきたいと思います。

HRCIとは

HRCI® は、世界で最も信頼されている HR 認定機関として 45 周年を迎え、さまざまな HR 経験レベルの資格を提供します。HRCI はさまざまなレベルのキャリアアップと、HR 分野の専門知識の地理的領域を反映する8 つの実績のある HR 資格のスイートを提供します。100 か国以上の認定保持者を含め、50万人を超える人事担当者が HRCI から認定を受けています。また弊社は日本で最初で唯一のラーニングパートナーになっています。(2023年2月より)

特徴①ジュニアレベルからシニアレベルまで様々な資格を持つ

HRCIはSHRM団体の資格とは異なり、様々なカテゴリーに対しての資格を提供しています

階層別・そしてグローバル・インターナルな資格を保有しており、上記には記載しておりませんがカリフォルニア州専門の資格なども提供しています(カリフォルニア州は他州と比較をして特別なルールが多いため)

特徴②地域や国に応じた柔軟性と認知度

HRCIの資格は、世界中の100か国以上で広く認知されており、地理的なニーズに応じた柔軟性を持つのが特徴です。各資格は、国際的なHRの基準だけでなく、地域特有のHR課題や法的要件にも対応できるよう設計されています。この点で、SHRMやATDの資格とは異なり、国際的なHRプロフェッショナルにとって特に適した選択肢となっています。

特徴③ 試験の多様性と専門性

HRCIは、8つの資格プログラムを通じて、初級から上級まで幅広いレベルのHRプロフェッショナルに対応しています。また、資格取得に必要な試験内容は、HR業務の中核的な知識から戦略的なリーダーシップスキルに至るまでカバーしており、特定のスキルセットや専門分野に特化しています。これにより、個人のキャリアニーズに合わせた柔軟な学習とスキルアップが可能です。他団体の資格に比べ、より細分化された試験範囲が特徴です。

HRCI認定資格のメリット(昇格・賃金)

PayScale社の調査では以下の記載があります。

https://www.hrci.org/docs/default-source/web-files/payscalereport_value-of_sphr_phr.pdf

HR資格は給与を最大28%上げる

https://www.payscale.com/research-and-insights/hr-certifications-pay/

HR資格は昇進率を最大25%上げる

https://www.payscale.com/research-and-insights/hr-certifications-pay/

世界のCHROの55%が資格を有している

どんな問題が出るのか?

さてここで実際にどんな問題が出るのかを少しご紹介していきたいと思います。問題は日々アップデートされますので、あくまでもイメージとして参考にして頂けると幸いです。

aPHRサンプル問題(初級者向け)

以下のような問題を回答する事となります。

問題①:従業員のオンボーディングプロセスにおいて、最初に行うべきステップは何ですか?
会社の方針の説明
b) 新しい従業員への福利厚生の説明
c) 研修プランの策定
d) 給与システムの導入

問題②:問題:採用プロセスで最も重要な要素は何ですか?
a) 応募者の面接
b) 役職に基づいた求人広告の作成
c) 求人サイトへの広告掲載
d) 雇用契約書の作成

PHRサンプル問題(中級者向け)

問題①:問題:人事部門が組織の長期戦略に最も貢献できる方法は何ですか?
a) 全従業員に給与増額を提案する
b) 組織の目標に沿った人材育成プランを策定する
c) 新しい採用プロセスを導入する
d) 社内の福利厚生プログラムを見直す

問題②:問題:HRがリーダーシップ開発プログラムを評価する際、最も重要な要素は何ですか?
a) コスト削減の可能性
b) リーダーシップ候補のパフォーマンスの向上
c) 研修期間の短縮
d) 研修の受講者数

SPHRサンプル問題(上級者向け)

問題①:企業がグローバル展開を進める際に、最も重要なHRの戦略的考慮事項は何ですか?
a) 現地の法規制に基づいたコンプライアンスの確保
b) 現地スタッフのための同一給与体系の適用
c) グローバル標準の福利厚生の提供
d) 組織全体での文化統合プロセスの推進

問題②:人事戦略を組織の全体目標に効果的に整合させるためには、どのようなアプローチが最も有効ですか?
a) 経営陣とHRの連携を強化する
b) 全従業員の意見を基に戦略を策定する
c) 現在の人材を維持するための施策に集中する
d) 経営戦略をHRの方針に合わせる


HRCIテストの特徴(選択式設問)

HRCIの認定は、HRの知識ベースに重点を置いています。これはコンピテンシーに重きを置いているSHRMを異なり、HRとしての知的専門家としての色合いが強いとも言えるかもしれません。従って、HRCIの試験は、多岐選択式(選択肢問題)のみで構成されています。

試験範囲は、具体的なHR業務(雇用法、給与、福利厚生、パフォーマンス管理など)に焦点を当てており、法律や手続きに関する詳細な理解が求められ、従来のHR実務に関する法的および技術的な知識が中心です。
例えば、雇用法、労働基準法(FLSA)、退職制度(ERISA)、労働組合関連法(NLRA)など、法的な側面が重要な要素です。

資格取得までの流れ

一般的には試験内容を決めてから3~4カ月ぐらいの準備期間が必要だと言われています。実際に私が受験した際は6カ月ほどかかりましたが、効率的に勉強すれば短い期間での取得は可能です。

お薦めの勉強法

「SHRMの資格、HRCIの資格もいきなり英語だと大変そう」と思った方は、もしHRとしてのキャリアアップや資格取得にご興味をお持ち頂けた方はぜひこちらでも資格取得に向けた学習が可能です。ぜひ参考にしてみてください。


著者:松澤 勝充

神奈川県出身1986年生まれ。青山学院大学卒業後、2009年 (株)トライアンフへ入社。2016年より、最年少執行役員として組織ソリューション本部、広報マーケティンググループ、自社採用責任者を兼務。2018年8月より休職し、Haas School of Business, UC Berkeleyがプログラム提供するBerkeley Hass Global Access ProgramにJoinし2019年5月修了。同年、MIT Online Executive Course “AI: Implications for Business Strategies”修了し、シリコンバレーのIT企業でAIプロジェクトへ従事

2019年12月(株)トライアンフへ帰任し執行役員を務め、2020年4月1日に株式会社Everyを創業。企業の人事戦略・制度コンサルティングを行う傍ら、UC Berkeleyの上級教授と共同開発したプログラムで、「日本の人事が世界に目を向けるきっかけづくり」としてグローバルスタンダードな人事を学ぶHRBP講座を展開している。


保有資格:
・SHRM-SCP(SHRM)
・Senior Professional in Human Resources – International (HRCI)
・Global Professional in Human Resources (HRCI)
・The Science of Happiness(UC Berkeley)、他

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