DDO(発達指向型組織)の基礎知識について
皆様、ごきげんよう。
今回は、DDOと呼ばれる組織文化について基礎知識をアウトプットしていきます。
環境が人に与える影響は絶大なるものだ、と認識している人は多くいるかと思いますが、実際は下記のように思っている方もいるのではないでしょうか。
「実際、どんな環境や組織だと良いの?」
私自身、上記のような疑問は常に持っていて、悩み考えた時期も少なくありません。
そこで当記事では、そんな疑問を持っている方に向けて
『DDO=発達指向型組織』という1つの組織の在り方を簡単に発信できればと思います。
就活をしている学生やキャリアに迷っている方にとって、少しでも参考となれば幸いです。それでは早速見ていきましょう。
DDOとは?
そもそもDDOとは何でしょうか?
発達指向型組織(Deliberately Developmental Organization。略して、DDO)とは、ロバート・キーガン教授(ハーバート大学教育大学院)、リサ・ラスコウレイヒーが提唱する成人発達理論に根差した組織文化を持つ企業形態です。
高収益と調整庁文化の両立を果たしている企業を研究対象とし、それらの企業が成人発達理論の原則に適合した形で組織運営がされていたことから、その特徴を学術的な見地から捉えなおし、体系化しています。
※これができている企業は世界に3社しか見当たらないらしい。
最近よく耳にするティール型組織と似通ったイメージを持ちますが、DDOはティール型組織へのプロセスの中に含まれます。
ティール型組織には以下の3要素がありますが、その中でもホールネスにフォーカスしているのがDDOです。
【ティール型組織における3つの突破口】
①セルフマネジメント(自主経営)
②ホールネス(全体性)
③エボリューショナリーパーパス(存在目的)
ここまでなんだか難しい話をしてきたように思いますが、DDOをわかりやすくすると、
『全員がメンバーを成長させる(相互支援)責任を持つように設計された組織』といったところです。
では、そのような組織を目指すためにはどうすればよいのか。
次項で解説していきます。
強さと温かさの共存
DDOを実現するためには、全員が自分の弱さをさらけ出せる組織であることが重要です。そして、安全であると同時に、要求の厳しい(試練)組織文化の形成が求められます。
つまり、タイトルに書いたように
『強さと温かさの共存』が必要となります。
では、「弱さ」とは一体なんなのでしょうか。
ここでいう弱さとは、対人リスクのことです。対人リスクとは、無知・無能・邪魔・否定的だと思われたくない、などがあります。
これらを全て隠すのではなく、"全員で"さらけ出す。そして、弱さを見せても受けれてくれて、排除されない、尊重されるという信頼と、よく守られたと感じる経験が重要です。
ただし、注意点として、上記については一回でも違反行為があった瞬間に、信頼性は損なわれてしまうということがあります。なので、弱さをさらけ出すというルールがある以上、自分に嘘をついて、偽りの自分を演じることは許されません。
人は強さを見せる人に敬意を抱くが、弱さを見せる人に魅力を感じる
弱さを見せることはネガティブなことではなく、他者から見て魅力的に映ることを理解しましょう。
この世のどこにも、弱さがない人間などいません。
DDO(発達指向型組織)は何が発達する?
ところで、発達指向型組織では、何が発達するのでしょうか。
端的に結論から申し上げると、発達するのは『知性』です。
知性というと、豊富な知識などをイメージされる方もいるかもしれませんが、そうではありません。知性とは、考え方や思想のことを言い、世界の認識システムなのです。
つまり、知性が上がると、主体が客体に移行していくのです。
「いや、意味がわからん。」となっている方が多いかと思います。私もそう思います。
嚙み砕いてお伝えします。Aくんという人がいるとしましょう。
知性が発達していないAくん(主体)が気づいている領域はある一定の範囲であり、Aくんは自身が持っているレンズ(前提)を通して世界を見てしまいます。
そこで、知性が発達していると、もう一人のAくん(客体)が現れます。もう一人のAくんはAくんを遥か頭上から見下ろすことができるため、気づける領域が圧倒的に広くなります。
知性を発達させることで、レンズを通して世界を見るのではなく、レンズ自体を見えるようにするのです。
「自分が持っている前提(レンズ)はなにか?」という内省を意識して続けることで、あるとき自分の前提(レンズ)に気づくことができます。
知性の発達段階を上げるためには、行動⇒結果⇒行動⇒結果といったシングルループ学習を繰り返すのではなく、前提⇒行動⇒結果⇒前提⇒行動⇒結果といったダブルループ学習を繰り返すことが効果的です。
行動をとった前提やマインドセットにまで踏み込むことで、知性の発達段階は上がっていきます。
※深いところの前提を知るには「ザ・メンタルモデル」という書籍がおすすめです。
知性は発達し、段階は3つある
大人の知性には以下3つの段階があります。
①環境順応型知性(自失)
②自己主導型知性(自愛)
③自己変容型知性(慈愛)
それぞれを簡単に説明していきましょう。
①環境順応型知性
・周囲からどのように見られているか、どのような役割を期待されるかによって自己が形成される
・帰属意識をいだく対象に従い、忠実に行動することで自我を形成する
②自己主導型知性
・自分自身の判断基準を確立する
・自分の価値観や行動規範に従い、自律的に行動することで自我を形成する
③自己変容型知性
・自分自身のイデオロギー(行動を左右する根本的なものの考え方の体系)と価値基準を客観的にみて、その限界を考えることができる。システムや秩序が断片的、不完全なものだと理解している。矛盾や反対を受け入れることができ、複数のシステムを保持しようとする。
・いろいろな価値観を統合することを通して自我を形成する
これら知性の段階を進化させるには、「含んで超える」が原則となります。場所によっては、環境順応型であるが、場所によっては自己主導型といったように徐々に知性の段階を上げていくこととなります。
ちなみに、知性の段階が1つ上がるには、5~10年ほどの歳月を必要とするそうです。それぞれの段階に応じて、適切な支援方法や支援をする問いは異なり、支援次第で段階が上がるスピードを加速させる可能性もあります。
発達するメリットは?
では、そもそも発達することにどのようなメリットがあるのでしょうか。
結論、知性のレベルと仕事の能力にはかなりの相関関係があると、キース・アイゲルの研究で明らかになっています。
なぜ、知性のレベルが上がることで、仕事の能力が上がるのか。
それは知性レベルが上がることで、幸せの基準や捉え方に変化が生じるため。つまり、下記のような状態を指します。
幸せの基準や捉え方が変化する
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世界の認識システムが変わり、気づける総量が変わる
「一般的な幸せ = 苦痛の無い快楽状態」とイメージしますが、もう一つの側面の幸せとして、「可能性を開花させ、進化させ、より良い自分になる過程」といったことがあります。
つまり、状態だけでなく、プロセスも幸せと感じられるということです。気づける総量が変わり、幸せの解釈が幅広くなります。
苦痛のない快楽状態のみを幸せと認識して仕事をしている人、可能性を開花させ、進化させ、より良い自分になる過程も幸せだと認識して、実際に幸せを感じながら仕事をしている人。
どちらが仕事の能力が高そうかは、聞くまでもなさそうですね。
今回は、DDO(発達指向型組織)の基礎知識についてアウトプットしてみました。
会社の経営観によってはDDOがマッチしないこともあるので、なぜDDOを目指すのかは明確にしておきたいところです。
そしてどうやってDDOになるのか、具体的に何をしてDDOになるのか、こういった部分を組織全体で考えていけると良いかもしれません。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。