これでスッキリ解決!willとshallの本当の違い
「willとshallって何が違うんですか?」
企業の研修や大学の講義で聞かれる質問のひとつです。
この質問が出るということは、will と shall の共通点を知っているということです。
違いを解説する前に、簡単に共通点をお話ししておくと、この2つの助動詞は文法書などで「意志未来」という言葉で分類されています。
どちらも「意志」が関係していて、「未来」のことを表現するときに使われるという点では共通しています。
しかし、この2つには明確な違いがあります。
今回のnoteで解説していきますね。
<自己紹介>
こんにちは!英語コーチのショウタといいます。
東京都の日本橋で英語教室を経営しているひとり社長です。
教室でのプライベートレッスンをはじめ、毎年さまざまな企業や大学で英語の指導をしています。
これまで出会った受講生のみなさんは、年齢や職種も異なりますし、英語力や目標もそれぞれです。
そんな受講生のみなさんと関わっていく中で、「学習者がつまずきやすいポイント」や「基礎からの英語の伸ばし方」など英語学習に関する大切な気づきがたくさんありました。
結局のところ、英語力をカンタンに伸ばす魔法はありません。
正しいやり方で、地道に積み上げていくしかないんです。
僕もかつて勉強で挫折し、高校を中退しました。
何とか自分の人生を前に進めたくて、留学を決意しアメリカの高校に通い始めるも、最初はホームシックに苦しみましたし、その後も数カ月の間、ずっと言語と異文化の壁に悩まされ続けました。
それでも、現地の友だちや学校の先生、留学先で知り合ったさまざまな人たちに支えられて何とか高校を卒業することができました。
同時に、実際にアメリカで暮らしてみて、ある重要なことに気づきました。
英語を使える力、つまり英語の運用能力を伸ばすためには、単語はもちろんのこと、文法や構文の知識がとても重要だと思い始めたのです。
帰国後、大学で英語英米文学科に進学し、英語を本格的に学び直し、大学在学中に再びアメリカの大学で1年間“英語学”を学ぶこともできました。
社会人となってからも、いろんな英語の資格試験を受けて、何度も挫折を味わっては、試行錯誤しながらも地道に自分のペースで英語力を伸ばしてきました。
noteでは、そんな僕自身の経験や知識と、これまで出会った英語学習者のみなさんと接することで得た知恵をシェアしていきたいと思っています。
少しでもみなさんのお役に立てれば幸いです。
では本題。
will と shall の違いをシンプルに言うと、will は"人の意志"、shall は"神の意志"です。
ここから例文を使いながらさらに詳しく見ていきましょう。
● will=人の意志
will は"人の意志"を表すので、動詞に「~する意志がある」という意味をつけ加えます。
ただ、そのままだとちょっとやり過ぎ感があるので、もう少しやわらくして「絶対に~する」と訳すと自然な日本語になります。
これが will が本来持っている意味です。
では、次にもうひとつ英文を見てみましょう。
この英文には、will が本来持っている"人の意志"という意味はありません。
単に未来に起きることを言っているだけです。
このように本来の意味が弱まり、文法的な役割の方が発達する過程を、専門用語で文法化(Grammaticalization)と言います。
その本来の意味を失い、単純に未来のことを表現するだけになった will があるんですね。
● shall=神の意志
shall は"神の意志"を表すので、動詞に「~する運命である」という意味を加えます。
英語で書かれた聖書を読むと shall が結構出てきますが、"神の意志"という本来の意味から考えれば納得できますよね。
次の英文を見てみてください。
これはマッカーサーの有名なセリフです。
「私が戻ってくるのは神の意志によって定められている」→「私は戻ってくる運命なのだ」ってニュアンスがわかれば完璧です。
次にこちらはどうでしょう。
これはチャーチルのスピーチの一部です。
「我々が降伏しないのは神の意志によって定められている」→「我々は降伏しない運命である」って感じですね。
ただし、現代英語では shall を疑問文以外で使うことはほとんどありません。
現代で使われる shall の表現は次の2つです。
Shall I ~?「(私が)~しましょうか」
Shall we ~?「(一緒に)~しませんか」
will のところでもお話ししましたが、これらも shall の本来の意味が失われています。
ただ何となく上品な感じがするのは、本来の意味の影響もあるのかもしれませんね。
いかがですか。
will と shall の本来の意味を知ると、英語の理解が深まりますよね。
英語学習がんばってくださいね。
応援しています!