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「男らしさ」とか「女らしさ」とか
「男らしさに自信がないんだよね」
こないだ初デートで行ったお店に二人で再訪して
窓の外を眺めがらクラフトビールを飲んでいたら彼がこう言った。
どういう流れでこの話になったかは忘れてしまったが、
「自分のこと『俺』って言って欲しい?」
というのがどうやら彼が一番気にしていることのようだった。
彼曰く、男らしさに自信がないから自分のことを「俺」というのはなんか違うし、
「僕」っていうキャラでもないけど、私がそれを気にするかを知りたかったよう。
私は彼が自分のことをなんて呼ぼうといい意味で本当にどうでも良かったし
(おいらとかは流石にいやだけど笑)
そんなこと気にもしていなかったから、逆に気にさせてごめんと言いたいくらいだった。
この一連の会話を通して、女性だけが「女性らしさ」に苦しめられていると思っていた私の固定観念が崩れ去った。
この時私はお酒が入りながらも脳みそフル回転で割と機転の聞いた返しをした。
「日本語って第一人称難しいよねわかる。英語だとみんな第一人称"I"なのめちゃ楽だな〜って思う」
「あと私も女性らしさで言ったら全く自信ないよ。性格が男勝りすぎて『もう少し女性らしく振る舞ったら』と母親に何度言われたことか」
上記にあるように、私は気が強く自分の意思は曲げない男気がある自覚もあるので
母親からは『弟とあなたの性格が逆だったら良かったのに。そりゃ周りの男の子も怖くて近づけないわ(彼氏なんてできないわ)』とよく言われた。
でも自分の性格は好きだし、かっこいいし、近寄ってこない男なんてその程度のやつだからこっちから願い下げ、と思っていた。
(と言いつつ彼氏ができないのは長年の悩みだったが)
「男らしさ」とか「女らしさ」って誰が決めたんだろうか。
多分それでいうと彼の方が細かいことに気がつくから「女性らしく」て
私の方が大胆さとか決断力があるから「男らしい」と思う。
でもお互い異性として好きだし、この矛盾があるからこそ
私たちはすごく相性がいいと思っている。
料理が好きで、ネイルしたことに気づいてくれたり、イヤリングを褒めてくれたり
そんな男性が遊び目的以外でこの世に存在していることを私は知らなかったから。
「寂しくなっちゃった」ってLINEしてくきてくれるのは彼の方で
私は恥ずかしくてなかなかそんな可愛いこと言えない。
でもこれが私たちなりの関係性で、ここに「男らしさ」とか「女らしさ」っていう世間一般のイメージが入り込む余地は無い。
「自分の好きな自分でいるのが一番よくない?」
彼にそう伝えると「そうだね、ありがとう」と肩の荷が一気に下りたように、いつもの優しい笑顔を浮かべていた。
うん、これでいい。これがいい。