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小1ASD@トイレの課題

小学生になると「トイレいきや〜」と声をかけることも少なくなったのですが、自分の膀胱を過信しているのか、昭和に流行ったフラワーダンスのように体を揺らして、限界点をごまかしてからトイレへ駆け込む様子がみられます。

ある日、トイレへ行くと床が汚れていることがあり

「おーいムスコくん。こぼしたら教えてねー」

と声をかけたのですが、こちらと目が合うと不安そうに固まってしまいました。

「おしっこついたまま置いとくと臭いがこびりついてしまうねん」

子育てのセオリー『理由を伝える』を発動しても状況は変わらず。今にも泣き出しそうな顔で言葉が出せないムスコ。

「こぼれちゃったなぁって言うの難しい?」

「…うん」

不安が強く、注意や指摘を自尊心にザクっと刺さる攻撃だと捉えてしまうため、否定されない安心が担保できないとSOSが出せない。

「そうなんだね。じゃあさ、ちょっと話を変えよう。ムスコはお店でトイレ掃除してくれてるのって見たことある?ショッピングモールとか。子ども用トイレがある場所なんかは特に大人しか使えへんのに入り口に点検表を貼って数時間おきに掃除してるの」

「ある、コンビニでみたことある」

「そうそう。コンビニなんて子どもだけで利用せえへんやん?それってさ…じつは、大人も結構こぼしちゃうからなんだよ」

「え?そうなん?」

ムスコの目がキラリと輝く。

「そうやで。きれいやったらそんな掃除せぇへんでいいやん?」

「うん」

「だから、こぼしちゃうのはムスコだけちゃうんよ。むしろ大人でもちょいちょいやっちゃうんよ。だからトイレ掃除のお仕事の人が1日に何回も頑張ってくれてる」

「へー」

「失敗したな、困ったなってことは他にもあるよね。それってムスコだけじゃなくて誰にでもあるんだよ。でも、それを誰かに伝えるのってドキドキすると思う」

「うん」

「それもみんな同じで、誰でもドキドキすることなんだ。だから、失敗や困ったことを伝えることはすごくカッコいいんだよ」

「…でもやっぱり言うのは緊張する」

「そっか。絶対言わなきゃいけないと思うとしんどいよねー、絶対は言わなくていいよ。乾燥してこびりつく前の方がラクだから、早く教えてくれたらお母さん『めっちゃ助かる〜ありがとう!』って喜ぶのを覚えてくれる?」

「それなら…できるような…でも忘れちゃうこともあるかもしれない」

白黒思考のムスコは完全にできることしか約束ができない不器用くん。

「ありがとう。そうやって真剣に考えてくれただけでお母さん嬉しいよ」

「うん」

こちらが膝を突き合わせて話し合えば少しずつ本音が出るものの、外では困りごとが言えないのが課題。

家庭で少しずつ練習して、いずれは家庭以外でも困りごとが出せるようになったらいいなぁ…

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