ADHD/ASD夫@そもそもの話①
家族で自然散策へ出かけることになった。
荷物をいくつかにまとめて、息子と父さんが先に大きな荷物と一緒に車に乗ったので、慌てて準備をして外に出ると、思いの外寒い…。
これはマズイと思い、一旦部屋に戻り息子のニットの帽子やホッカイロを人数分用意して出発した。
揺れる車内で荷物を確認していると、「あれ?虫かご忘れた…大きな荷物と一緒に置いてたんだけど…」
運転席から、ムスッとした声で
「オレは大きな荷物が大変だと思ったから運んだだけだ。他は知らない」と父さんは言う。
まぁいいや、なくてもどうにかなる。共有のタスクをチームで行うとき、声がけが足らないとこういう行き違いが起きる。どれを運んでくれたのか口頭で確認しておけば良かった。しゃーない、切り替えていこう。
息子が助手席でDVDを見ているので、私は後部座席でイヤホンをつけて外を眺めながら音楽を聴いていた。
しばらくして、ふと前を見ると、ミラー越しに父さんがこちらに目線を送っている。
「なに?」とイヤホンをはずすと
「さっきの、逆の立場だったらオレめちゃくちゃ責められてたやん」
「?どういうこと?」
「母さんが先に車に乗って、オレが最後で、荷物を忘れたらめちゃくちゃ怒るやろ?」
「ん?ちょっと意味変わらないです。もし、あなたが最後に家を出たらっていう仮定の話?」
「そんな状況やったら、オレめちゃくちゃ責められる!いつもそうやろ」
「うーんと、私は持病のコントロールで出発直前にトイレ行って遅くなるから、『いつも』最後に家でるのって私が多くない?」
「いや、でもオレが忘れたらめっちゃ叩くやん」
「??今回のことはコミュニケーション不足だと、もっと声をかけ合えば良かったなぁと思っていたけど」
「オレのミスだったらいつも叩くやろ」
「『いつも』っていつのことかな?具体的に。」
「…」
「想像の話で『おめぇオレの時だけ責めやがって自分に甘ぇんだよ』って私を責めてらっしゃるの?」
「…」
「うーん、認識がズレてそうだなぁ。私があなたを責めるとしたら、定型発達の人がよく言う『普通』から逸脱して、『普通やるやろ』とか『普通分かるやろ』からあまりにも目に余る行為をしたとき。あなたの特性では違いが分かりにくいと思うから、この行き違いの問題点はそこなのかな」
「…」
「もし違うなら、具体でどのケースか思い出したときに話してください。お互いモヤモヤするし、話し合いにはいつでも応じますよ。修正しましょう」
「…」
「父さんは私を他人のことを責める器の小さい人間だと思ってるんだろうね。でもあなたは、私があなたから10年かけて受けた恨みを同じ年月以上かけて返すことを承諾してるでしょ。だから今も一緒に暮らしてるし、過去にリンクする出来事があったときは『今はマシになったけど、あのときのあなたひどかったね』って伝えてる。でも、過去の思い出と関係ない話を無理やりほじくり返して憂さ晴らしする浅ましい女に成り下がったつもりはないです」
父さんはダンマリだ。