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ニュータイプ@関節痛の話②

昼休みにまだ連絡がなく、仕事が終わりダッシュで帰宅すると父さんと息子が寄り添いながらリビングで横になっていた。

父さんの手にはNintendo Switchのコントローラー。

テレビには、父さんと息子がハマっているゲームが映っており、ゲームのやりすぎを予防するため2時間で保護者タイマー機能がオフになっていたのを見逃しませんでした。

「一日、ありがとう。検査どうだった?熱は?」

「コロナインフル陰性。40度超えてる」

「え!40度?!しんどいね、可哀想に…」

そろ〜っとゲームの電源を落とそうとする父さん。

「なぁ、病院って言わなきゃ解熱剤くれへんの?」

「どういうこと?」

「となりの薬局で処方してもらうときに抗生物質だけって分かってん。やから、もらわれへんかった」

「えっと、解熱剤もらいに行ったんだよね?先生にはどうやって伝えたの?」

「解熱剤で熱下げて過ごしてますって」

「うーん、それだと、まだあると思われたんちゃうかな。残りを聞いてくれないのも不親切やけど…気付いた時点で病院戻ればリカバリできたかもよ…また明日連れて行くしかないね…」

「ムスコは残りの解熱薬使ってるの?」

「坐薬の方が効くと思ったから、LINEで坐薬どこ?って送ったんやけど。薬箱にもないし」

「え?LINE?外回りから会議出てダッシュで帰宅したから見れらてないわ、ごめん!」

携帯を広げると2時間前にLINEが送られてきてました。

「坐薬は冷蔵庫だよー、常温あかんから」

息子が生まれて7年。発熱した際に幾度となくお世話になってきた坐薬の場所も知らないとは。

する〜っとキッチンに立ち、甲斐甲斐しく食器を洗い出す父さんは、ゲームしていたことを払拭したいのか饒舌に喋り出しました。

「ほんま大変やった、めっちゃ待たされるし。帰りに息子がカツ食べたいって言うからスーパーよったら抱っこって言われて、オレ指も関節も痛いしカツ持ってるし無理やって言ったのに抱けってグズって、帰ってカツ出したらひとくちも食べず嘔吐して」

「え?吐いたん?!」

「せやで、めっちゃ大変やった…」

「昨日からゼリーひとくち程度しか食べれてないねんから油モンなんて吐くわな…」 

「本人が食べるって言うから!」とムッとされる。

「いやいや7歳の子の言葉をそのまま受けとったらあかんやん。欲しがるなら買ってもいいけど、食べへんかったときの保険で、たまごどうふとかさぁ…」

「たまごどうふ聞いたで!いらんって言われてん!」

「やから、言葉そのまま受け取る話をしてんねん。ASDの特性やから注意しないと気づけないよ」

「あー…めっちゃ関節痛いねん。指が全然動かんくて。ほらみて、この指、やばいやろ?なのに病院ではたいしたことないって感じで抗生物質だけだったけど、どんどんひどくなってんねん…普通じゃない。これヤバいわ」

ADHDの都合悪くなったときに話逸らして逃げる特性がでてる。でも、ここで詰めたら人道に反するとか言われそうやな…。

「洗い物、無理にしなくていいよ。置いておいて。その痛み数日前からだよね、命に関わる?」

「そうやねん!それくらいの痛みやねん!!」

「夜診でもう一回行ってきたら?」

「いや、あの医者ほんま、うんたらかんたら、どうせ行ったって、うんたら、かんたら」

「えーっと、命に関わる重篤な状態なら夜診行ったところで、たぶん解決しないよ。行く理由は、先生では分からないって大きな病院を紹介してもらうため」

「は?そんなめんどくさいこと無理や…!」

「うーんと、生きるか死ぬかなんだよね?めんどくさいからやめとけるレベルならまだ置いといてもいいんじゃない?」

「いや、でも、ぐちぐちぐち、ぐち…」

「父さんの病院嫌いは知ってるけどさ、どんなときも病院行くときはイレギュラーだから、父さん自身がパニクってきちんと伝えられず、思うような結果が得られなくてイライラするんじゃない?それは病院のせいではなく、父さんの発達特性のせいだよ」

「あ、あぁ…」と思い当たる節があった様子。

「行くのが無理なら、病院に電話で問い合わせてみたら?」

「いやあの病院は対応がひどいから!こっちはお客さんやん!」

「うーんとね、そもそも病院にホテルの予約みたいなサービスを期待するのは筋違い」

「でもホンマにひどいんや!」

「それならご実家あたりでどこか病院ないの?ゆうても1時間弱やん?」

「しらん。どこもそんなんや。母さん地元でどこ行ってたん?他にないん?」

いやいや私の地元、新幹線乗らな無理な距離やで。あんたの地元近いねんからお義母さんに聞けばいいのに…。

「命に関わる可能性があるなら、♯7119くらいかな。それが必要なのかは父さんにしか分からない」

電話嫌いの父さんでしたが、聞いた手前、しぶしぶ#7119へ架電。朝受診した病院へ連絡をとるように、それがダメだったときのために、いくつか候補の病院を教えていただけた様子。

朝受診した病院へ架電すると時間外なので明日通院するようにとの返答。父さんは「緊急性を分かってない!」とご立腹。

息子もぐったりだったので、「忙しいところ申し訳ないけど何時間前に解熱剤飲ませたかな?6時間あいてたら次を飲ませたくて」と聞くと

「は?入れてないで?坐薬の場所わからんかったし」

「いや、えっと、机の上に粉の解熱剤置いてたやん…?」

「坐薬の方が効くと思って粉は使わんかってん」と堂々とした態度で返されました。

なんの処置もされず、ムスコ放置…?

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