【CSマネジメントの要諦】カスタマーサポート業務の生産性を上げた取り組みの紹介
こんにちは!アイアンドシー・クルーズの広報です。
本日は、リフォーム一括見積もりサービス「リショップナビ」でカスタマーサポートを統括するKさんにインタビューしました。いかにして、カスタマーサクセスを実現し、カスタマーサポートの生産性を上げているのか、具体的なノウハウを教えてもらいました!ぜひお読みください。
Kさん
アイアンドシー・クルーズが運営する主要3サービスの
カスタマーサポート業務の統括責任者
ーーまず、アイアンドシー・クルーズ社のカスタマーサポート業務とはどのようなものでしょうか?
Kさん 現在アイアンドシー・クルーズでは、リフォームや外壁塗装、太陽光や蓄電池といった省エネ商材、そしてプロパンガスという住まいに関わる複数のインターネットメディアを運営しており、毎日数百件という多くの問い合わせをいただいています。
自分は、10月よりその中の3サービスである「リショップナビ」「グリエネ」「プロヌリ」のコールセンターを横串で管理、統括を任されています。
コールセンターの事業上のミッションは、
問合せいただいた方々をなるべく多く、より多く最適な紹介先へ導く、
その転換率の高さにあります。
またそれに合わせて、ユーザからの様々なご要望にお応えしつつも、社内のマーケサイド、セールスサイドからの要望や指示を汲んで、オペレーションを試行錯誤し、仕組みを構築・運営することも求められます。
ーーカスタマーサポートを担当するうえで課題はありましたか。
たくさんありましたね、それはもう気が遠くなるくらい…。担当し始めた際、問題をリストアップしていったんですが、軽く100件超えてました笑
ーー100件ですか…!どういった種類の課題が多かったんでしょうか?
今までは3サービスが縦構造で運営されていたので、そもそも共通したルールというものが少なく、用語や数字の見方さえもバラバラでした。
また、問い合わせ数自体は右肩上がりで増えているため、現場からは人手が足りないと常に言われており、一方で人件費が占める割合も増加傾向にあり、まさに板挟み状態でした。
さらに、各サービスで属人化された業務も多く、「○○さんしか対応できない、分からない」といった事象も多かったです。
そして何を変えようにも、過去の数字がまとまって管理されていないことが多く、改善しにくいことも多かったですね。
ーーなかなか複雑な状況だったんですね。
そうなんです。
とはいえメンバー数は20人を超える社内一の大所帯ですので、ひとつひとつの改善が大きなインパクトになると信じて動くようにしました。
また、ユーザーと紹介先を結ぶサービスの機能の中で、サービスのど真ん中を司っているため、事業に何か変化が起きると、一番最初に気づきやすいポジションだと思っています。
そこが麻痺しているとサービスに悪い流れがきていても反応が遅れますしね、そういう意味では責任が大きくやりがいもあります。
カスタマーサポートの業務風景
ーー大変そうなのは分かりましたが、何から手をつけていいか難しそうですね。
そうですね、まず最初に2つのことを決めました。
1つ目は「自分が現場のプレイヤーにならない」ことです。自分の役割は全体の仕組みを変えることですが、現場の横で仕事をしていると、自分がやったほうが早いと思う場面に何度も遭遇します。
大事なことは、それを我慢して任すこと、そんな状況にならないような打ち手を考えてすぐに実行することだと思っています。
僕自身が自転車操業を続けると、いつまで経ってもサービスが進化しないし、後任に同じことを強いることになるのはやっぱりよくないなと。
2つ目は、「速さを求める」ことです。業務処理の速さがあがれば、諸々の問題の原因のほとんどは解決すると考えました。また、待たされるサービスほど悪なものはないと考えているので、サービスが目指すべき姿とも一致していました。
質を捨てろという話ではなく、無駄なことをなくし、本質的な業務に多く時間を割けるような組織が理想だと考えました。サービスが綺麗に回転しないことには、新しいチャレンジもできないですしね。
ーーなるほど。では具体的に何から取り組み始めたのでしょうか?
まずは3サービスをまたいで、工数の管理とデータベースの管理から行いました。
当たり前に聞こえますが、適切な工数を割り出さないと、いきあたりばったりな人員配置になり、その人員を管理するための余計な仕事が生まれていたりすることもありましたね。また、一定の工数をかけて瞬間風速的に数字を出せることはできても、正しく定点観測を続けないと、結果的に正しく振り返れていないことが多々ありました。
そのため、各サービスの今後の問合せ数予測や売上、過去実績から、適正な工数を求め、それに応じた人員配置を行うようにしました。
またデータベースも、どんな数字をウォッチするかまず決めたうえで、以前のnoteで掲載されていたBIツールを駆使し、ボタン一発で必要な情報がいつでも取り出せるようにしておきました。
ーーなんだか改善されそうですね。では速さを求めるとは、具体的にどんな取り組みをしたのでしょうか?
速さを求めることについて、もっともインパクトが大きかったのは「やらない判断をすること」でした。「はじめる勇気」はもちろん必要なんですが、「やめる勇気」も必要だと思ってまして、特に反復性、継続性の高いこの領域においてはすごく重要だと思っています。
何年もサービスを運営していると、変化の中で「本質的でなくなった“化石”化されたオペレーション」が絶対あるんですよね。
各サービスのオペレーションを見聞きするなかで、常に「それいる?もっと簡単にならん?」と自問するようにしていました。
何枚ものシートで管理している業務を辞めたり、繋がらないユーザに闇雲にアプローチすることをやめたり、結果やらないことで、事業数字が下がる、サービスの質が落ちる、ことは無かったですね。
むしろ重要な指標に対する業務に、全員が工数を割けるようになったのではと思っています。
ーーなるほど、しかし業務を減らすだけでは解決しないことも多いのでは?
その通りです。改善するべき業務はまだまだたくさんありました。
特定のメンバーが特定のサービス、特定の業務しか対応できないことが多く、せっかく問合せがきても折り返しの対応になってしまったり、突発的な問合せ増加に対応できなかったりしましたので、マルチに対応できるメンバーを増やすことにしました。
一つ一つの業務内容を紐解いていくと、ものすごく高い技術や深い知識が求められものは、ほとんどないですからね。
サッカーでいうと、「みんなが特定のポジションしかできない、言われたことしかできない」のではなく、「みんなが全部のボジションをこなせて、全体戦略を理解しているからその場で役割分担と自己判断ができる」みたいなチームにしたいと思っていました。
そんななか、特に一番やっかいだったのは、属人性の高い業務の扱いでした。
毎日何度も行われる業務の中に、特定の人しかできない業務が含まれると、回転がサービスの圧倒的に遅くなるんですよね。またそのメンバーの負荷も大きなものになります。
当社のサービスで言えば、例えば紹介先の工務店の選定や判断といった業務。
特にリショップナビは、ユーザの要望はもちろん、対応するリフォーム会社さんの対応可否に関する条件分岐がとても複雑です。覚えること、判断することが多く、数人のベテランしか携われない業務でした。
そうすると結果的に、せっかくユーザからお問合せをいただいても、肝心の紹介が遅れてしまいます。これはユーザと工務店さん、両者に迷惑をかけてしまうことでした。
CS業務のダッシュボード(イメージ)
ーーその問題をどうやって解決したのですか?
まず、複雑化された条件を種類で分けて、すぐにシステムで解決できるもの、できないものに分けました。
開発陣の方々の協力もあり、属人的に判断すべきものが半分ほどになりました。
それで解決されなかった条件も、整理、省略を繰り返すことで、新しく業務を覚えるメンバーが、必要以上に条件文を読むことや、都度不明点を確認しなければいけないといった手間を大幅に削減することができました。
ーー素晴らしいですね!カスタマーサクセスを担当されてから3ヶ月が経とうとしていますが、サービス運営において何か変化はありましたか?
さきほど例をあげた紹介業務の改善ですが、速度は大きく改善されましたね。
ユーザと通話が終了して、30分以内に紹介できる割合が、今までは5%にも満たなかったのですが、今では30%が紹介できています。
これは、ユーザとお話をしたスタッフ本人が紹介業務まで行えるようになったからです。
また、電話口で、「どんな会社さんを紹介してもらえるのか?」としばしば質問されるのですが、今までは即答できないままでしたが、今ではその場で回答することもできます。
ーー副次的に顧客満足度が向上する場面も増えたのですね。
そうですね。速さに固執して改善をしてきた甲斐がありました。業務全体の効率化も進んだ結果、配置する工数を20%程削減しても、業務をまわすことができています。
ーー今後は何を目指しますか?
上述した通り、カスタマーサポートの改善は、事業全体の改善に直結すると考えています。
そして、何よりも問合せいただくユーザの皆様、お取引先である工務店の皆様の満足度にも直結しますので、「ここに問合せてよかった」「ここと取引していてよかった」と思ってもらえるのが当たり前になるような世界観を目指し、速さと質で他サービスを圧倒できるようにしていきたいですね。
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カスタマーサポートの業務改善の取り組み、いかがでしたでしょうか?
タスクの洗い出し、工数の管理とデータベースの管理など、改善施策を具体的に聞くことができました。皆さまの参考になれば幸いです!
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