市川準 東京夜曲
いつの間にか目黒シネマで市川準映画を観ないと年を越せない体になってしまった。一人の監督を10年間追い続ける映画館はもはや国宝級ではないか。そして今回ようやく観られた東京夜曲。
他の現場で足を骨折した主演の長塚京三。出演を断念するかと思いきやその骨折を見事作品に取り入れた市川準の天才的なジャッジ。
廃れた商店街とワケありな人間たちの哀愁と色気がフィルムからとめどなく溢れ出す。大人の割り切れない複雑な心模様を若者の純真な視点と対比させる。
人と街と生活をドラマチックではなく淡々と。市川準の優しい眼差しをこれからも見続けていく。
作品との出会いは未来。