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ツノがある東館 (毎週ショートショートnote)

「東館B2、野菜や果物が食べ尽くされました!
フロアには巨大な足が!」

電話越しに、先に着いた生鮮食品売場責任者の草野の悲痛な叫び声。

「ありがとう!貴方も早く避難を!」


目覚まし前に鳴ったスマホからの「社長!東館からツノが!」の声に飛び起き、現場へ向かっていた。


近づくにつれ、見慣れたビルからツノが出ているのが見えた。


間違いない。孫の図鑑で見たトリケラトプスだ。

緊急車両は一揃い到着するも、皆呆然としている。


「社長!ほ、本館が!」
視線を移すと、こちらはシッポ。


ティラノサウルスだ。
このままでは皆の命が危ない。


いや、もしや?と思った矢先。

2頭がぶつかり、動きが止まった—。



「とうとうできたね。」
「じいちゃんがあの悪戯を上手く処理してくれたから。
でも、トリケラトプスと東館の肉を目指すティラノサウルスのぶつかりで、時空の歪みが戻るなんてよく思いついたね。」


一部博物館と化した百貨店を、史時が作ったタイムマシンを撫でながら見上げた。

(410字)


※当記事は、こちらの企画への参加記事です。

ひとり読書時間は、普段取れませんが…。
ファンタジー要素?なるものは、子どもの遊びや絵本から吸収する日々です。

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