「花とつぼみと、きみのこと。」って、どんなお話?〜裏話と、出版に至るまで〜
久しぶりの更新です! 五十嵐美怜です。
今年4月に新刊「花とつぼみと、きみのこと。」(以下「花きみ」と略します)が発売になりました。
すでに読んでくださった方、ありがとうございます!
発売からだいぶ経ちましたが、改めてこのお話の紹介と裏話を少々……。
「花きみ」は読者に、
「世の中にはいろいろな形の家族がいるんだよ」
ということが伝えたくて書いた物語です。
でもきっと、そんなテーマがあるなんて、本文を読んでも気づかないと思います。
(もう読んでくれた方は「そうだったの!?」と思っているかもしれません笑)
デビュー作の「恋する図書室」とは少し作風が変わったと思うので、その辺りの経緯と葛藤を書いておきます。
*裏話のようなもの*
「花きみ」の企画を本格的に練り始めたとき、担当さんと話したのは
「少女漫画の原作を書くようなつもりでいこう!」ということでした。
「恋する図書室」は、1話完結のオムニバス形式のシリーズです。
話ごとにそれぞれ自分の中で読者に伝えたいテーマが明確にあって、それが登場人物の行動やセリフにストレートにあらわれていました。あとがきにも「今回のテーマは〜」ってそのまま書いていたかもしれません。
テーマを意識しすぎて、なんとなく真面目な物語になってしまった気がします。
伝えたいことを軸に物語を作るのはわたしの「自己満」であって、「子どもがエンタメとして楽しめる作品ではない」のかもしれないと気づきました。
自分の作品は、児童文庫というエンタメ小説の土俵に相応しくなかったのかもしれないと反省し、「胸キュン」を意識して話を作ることに。
プロット段階でも「もっと胸キュンシーンを」と指示をもらいました(笑)
その後、担当様と編集長様には大変お世話になり、ありがたいことに超スピードで出版まで持っていっていただきました。
「五十嵐さんってこういう感じも書けるんですね」と言ってもらったので、「恋図書」とは違う雰囲気の作品になったんだなと思います。
……しかし、物語にどうしても「一本の柱」のようなものを置きたかった五十嵐は、結局自分の中で「家族」をテーマにしてしまいました。
というわけで、冒頭の話に戻ります。
*****
主人公・田宮芽依が引っ越してきたマンションには、5人の中学生が住んでいます。
人気者、美人、学年一の秀才、マイペースなイケメン、モテモテの生徒会長……
学校ではキラキラなマンションのメンバーのことを、芽依は『自分とは違う世界に住んでいる』『みんなまぶしくて、楽しそう』と感じます。
だけど、褒めるつもりでその気持ちを美人な女子・さくらに打ち明けると、「田宮さんって、純粋だよね」と言われてしまいます。
さらに芽依が恋をした男子・ハルキは父子家庭であり、父の帰りが遅いためいつも一人で夕飯を食べていました。
優しいお父さんとお母さんに育てられた、一人っ子の芽依。
マンションのメンバーと接するうちに、自分の境遇が決して当たり前じゃないことに気づきます。
……と、こう書くと、とても重い話のように感じますが、「花きみ」はあくまでも胸キュン小説!
7割は胸キュンシーンのはず……です。
2割は「知らない土地での芽依の成長」。
1割ぐらいは「家族」かも?笑
ハルキ以外の他のメンバーも、それぞれ家族との悩みを抱えています。
重くならないギリギリのところで、いろいろな家族の形を書いていくつもりです。
もし「テーマ、全然隠せてないよ!」って感じた読者の方がいたら、ごめんなさい(^◇^;)
*出版に至るまで*
ありがたいことに、初稿を書き上げてからはとても迅速に話を進めていただきました。
でも、最初に企画案を出したのは去年の春なので、形になるまではやっぱり一年以上かかりましたね。
「たくさん人が出てくるお話が書きたい」と思ったのが始まりでした。
しかし情勢とか、他の作品との被りとか、さまざまな事情がありまして……
◎生徒会→◎シェアハウス→◎寮→◎サマースクール→◎団地
と、いろいろあって今の「マンション」に落ち着いた感じです。
視点は主人公の芽依ですが、群像劇のつもりで書いています。
タイトルにもある通り、モチーフは「花」。
これは、実は最初から決めていたわけではないんです。
なるべく読者に共感してもらいたいと思っているので、わたしはいつも登場人物の名前は「読者世代の年の名前ランキング」を見て決めています。
そうしたら、女子の名前が「芽依」「さくら」「葵」と、自然にボタニカルネームになっていて……(笑)
何かシリーズに特徴があったほうがいいよね、とも思っていたので、舞台も「緑がいっぱいの町、若葉町」ということにしました。
(ちなみに舞台イメージが仙台市某区なので、最初は「青葉町」という名前でした)
お花に関しては、正直、素人です。
図書館の資料で精一杯調べながら書いていますが、至らぬ点があったらすみません。
ですがわたし自身、まるで芽依になったような感覚で、知らない世界を知ることができて嬉しいと感じています。
町で目に入った花の種類が気になったり、四葉のクローバーを探してみたり。
これからもっと知って行けたらいいな。
そして何より、行村コウ先生の表紙、とっても美しいですよね。
挿絵も少女漫画のワンシーンにありそうな素敵な構図で、「あの文章からこんなイラストが……!?」とびっくりしました。行村先生に感謝です。
発売週に緊急事態宣言が発令されるなど、何かと不遇だった今作。
新作はやっぱり、書店さんで実際に手に取ってみないと読むかどうか判断しづらいですよね。
それでも読んでくださった皆様のおかげでなんとか続きを出せることになりました。
本当にありがとうございました。
それから、ボイスドラマも作ってもらったんですよね!
宣伝用の動画を作ってもらうこと自体初めての経験で、しかも喋るなんて!
実は結構前から決まっていたことだったのですが、ボイスドラマやるよ!って早く言いたくてそわそわしてました(笑)
どのキャラもぴったりのお声で、とても素敵です。優真のセリフが一言だけだったのが悔やまれる……。終わるタイミング( ; ; )
未視聴の方はぜひ、こちらから。↓
そして今、世は児童文庫の戦国時代らしいです(笑)
商売というものは難しく、いくら話が途中でも、売れなければ次の巻は出ないんですよね。
大まかなプロットは最後まで決まっているので、できれば芽依たちの恋を実らせてあげたいです( ; ; )
戦国時代の荒波に飲まれないような作品を送り出せるように頑張りたいと思っています。
8月6日発売の第二弾は、胸キュン&切なさ2倍でお届けします!
(何より挿絵もすっごいので……早く見てほしい)
読者人気ナンバーワンの優真も頑張ります(笑)お楽しみに……!
そして今回も緊急事態宣言下での発売となってしまいました。
書店さんで手にとって選んでもらえるチャンスが減ってしまうのは残念ですが、どんな状況でも「売れるものは売れる」んですよね。
あまり悲観しないようにしたいと思います。
大変なご時世ですので無理のない範囲でチェックしてもらえると嬉しいです。
「もし、好きな人に好きな人がいたら、どうする?」
そんなアオリがついた第二弾。
片想いを経験したことのある人なら共感してもらえる内容になっています。
試し読みもアリ!な特集ページはこちら↓
最後まで読んでくださってありがとうございました!
それではまた、更新します。
五十嵐 美怜
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