学生証を虚空に消した話
ある日の帰り際、ポストを覗くと大量の封筒が届いていた。そういえば大学が夏季休業に入ってからというもの、なんとなく昔から暗黙の了解で一家のポストの中を確認する係になっている私は家に篭りがちなっていた。そのため、1週間分ほどの封筒やらチラシやらが溜まってしまっていたようだった。
家に着くとそれらを何も考えず、父親のデスクにぼんと置いてしまうのが、もはや小学生の頃からの習慣であった。というのも、昔は特に自分宛に封筒やらチラシやらが届くことなどなかったからだ。なんなら今もそうだったり