うろ覚えむかしばなし たんたんころりん
あやふや度 ★☆☆☆☆
ある夜、男の子が厠(昔のトイレ)に行きたくなって目を覚ましました。
厠は家の外にあります。男の子は眠い目をこすりながら家の外に出ました。
するとそこに大入道がいました。
大入道は、男の子に箸を渡して言いました。
「この箸で、私の尻の穴をほじれ」
男の子はおそろしかったので、その通りにしました。
すると大入道は言いました。
「その箸をなめろ」
男の子はおそろしかったので、その通りにしました。
すると、なんとも甘い良い味がしました。
大入道は、「自分は収穫されずに忘れられた柿の実の精である。味わってもらえない無念のあまり化けて出たのだ」と言って消えました。
この妖怪を、たんたんころりんといいます。印象深いですね。
昔話の好きな子供でした。でも、あの頃読んだ昔話は今や記憶の中でうろ覚えのあやふやになり、混ざり合いごちゃごちゃになっています。
きちんとした話を目にしてしまう前に、うろ覚えの状態の自分の中の物語を書いておこうと思いました。
きちんとしたものを目にしてしまえば、うろ覚えの状態には戻れないのですから。