うろ覚えむかしばなし 三枚のお札
あやふや度 ★★★★☆
ある日、小坊主が住職におつかいを頼まれました。
おつかいの道中には、おそろしい山姥が住んでいます。
住職は、護身のため小坊主に3枚のお札を渡しました。そのお札は、念じたものに形を変える不思議なお札でした。
小坊主は、怖いなと思いながらも山道を進みました。
案の定、後ろからおそろしい山姥がものすごい勢いでダッシュで追いかけてきました。
小坊主は、「山になれ」と念じてお札を投げました。
お札は山になり、山姥の前にそびえました。
小坊主は距離を稼ぎました。
しかし、そのうち山姥は山を越え、またダッシュで追いかけてきました。
小坊主は、「川になれ」と念じてお札を投げました。
お札は大河となり、山姥の前に立ちはだかりました。
小坊主は距離を稼ぎました。
しかし、そのうち山姥は川の水を飲み干し、またダッシュで追いかけてきました。
小坊主は、「(不明)になれ」と念じてお札を投げました。
お札は(不明)となり、山姥の障害となりました。
小坊主は距離を稼ぎました。
そして小坊主は、おつかいを果たしたのでした。
昔話の好きな子供でした。でも、あの頃読んだ昔話は今や記憶の中でうろ覚えのあやふやになり、混ざり合いごちゃごちゃになっています。
きちんとした話を目にしてしまう前に、うろ覚えの状態の自分の中の物語を書いておこうと思いました。
きちんとしたものを目にしてしまえば、うろ覚えの状態には戻れないのですから。