うろ覚えむかしばなし 力太郎
あやふや度 ★★★★☆
むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんとおばあさんは、しばらく体を洗っていませんでした。
久々にお風呂に入ると、驚くほどたくさんの垢が出ました。
ふたりはテンションが上がり、盛り上がった流れで垢をこねて人の形を作りました。
するとどうでしょう、垢で作った人形は人間の赤ん坊になり、元気に泣き始めました。
ふたりは赤ん坊に垢太郎と名付け、かわいがって育て始めました。
垢太郎は大きくなると、とても力持ちの若者になりました。
皆は垢太郎を、力太郎と呼ぶようになりました。
力太郎はその怪力を生かし、様々な活躍をしました。
めでたしめでたし。
昔話の好きな子供でした。でも、あの頃読んだ昔話は今や記憶の中でうろ覚えのあやふやになり、混ざり合いごちゃごちゃになっています。
きちんとした話を目にしてしまう前に、うろ覚えの状態の自分の中の物語を書いておこうと思いました。
きちんとしたものを目にしてしまえば、うろ覚えの状態には戻れないのですから。