うろ覚えむかしばなし ハーメルンの笛吹き男
あやふや度 ★★★☆☆
むかしむかし、ドイツもしくはその付近にハーメルンという村がありました。
その村にはねずみがたくさん出て、皆とても困っていました。
ある日、その村に旅の笛吹き男が現れました。
笛吹き男は言いました。
「<任意の大きめの金額>を支払えば、ねずみを退治してあげますよ」
村の者たちは、困り果てていたので、ぜひやってくれと言いました。
笛吹き男が笛を吹きながら歩くと、家々からふらふらとねずみたちが現れ、笛吹き男の後を一列になってついていきました。笛吹き男が村を出て崖にたどり着くと、ねずみたちは次々に崖から落ちて死んでしまいました。
笛吹き男は村に戻ると、ねずみを退治したので<任意の大きめの金額>を払ってくれと言いました。
村人たちは、笛吹き男にお金を払うのが急に惜しく感じられました。
何しろ、笛吹き男は楽しそうに笛を吹きながら歩いただけなのです。そんな大金を払うほどのことでしょうか?
ちょっとした冗談だったのに、本気にされては困る。お金は払わない。
村人たちは笛吹き男にそう言いました。
笛吹き男は、「そうですか。では他のものをもらいましょう」と言って、再び笛を吹き始めました。
すると、家々から子供たちがふらふらと踊りながら現れ、笛吹き男の後を一列になってついていきました。
親がどんなに頼んでも、泣いても、揺さぶっても、子供たちは踊りながらついていき、村を出て、山を越えて行ってしまいました。
その後、笛吹き男と子供たちがどこへ行ったのか、誰も知りません。
昔話の好きな子供でした。でも、あの頃読んだ昔話は今や記憶の中でうろ覚えのあやふやになり、混ざり合いごちゃごちゃになっています。
きちんとした話を目にしてしまう前に、うろ覚えの状態の自分の中の物語を書いておこうと思いました。
きちんとしたものを目にしてしまえば、うろ覚えの状態には戻れないのですから。