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グローブの行方――寄付行為論序説
大谷翔平選手が日本全国の小学校へ野球のグローブを3つずつ寄付することを決めたそうだ。
各所で称賛の嵐が巻き起こっている。
たしかに彼にしか出来ない、彼がやるからこそ意味がある行為だ。
しかし、その合計金額が日本円にして億単位に及ぶと知り、私は今回の寄付に反対するに至った。
そんな大金が、社会福祉や人道支援に使われたらどんなに良いかと思うからだ。
そもそも日本の各小学校でグローブは足りていないのか? 足りているところにまで寄付するのか? 寄付したとして果たして子ども達が使えるのか? 教職員が記念に保管・展示してしまう可能性はないのか? 仮に展示だけでも子どもに良い影響があるのか?
…などなど、疑問は尽きない。
大谷翔平の実力・スター性は本物だが、彼にまつわる全てを美談・英雄譚として祭り上げるのは、あまりに陶酔的ではないか。