選手の頑張りは本物だが…
出場選手たちは真剣にプレーしているし、その奮闘ぶりは讃えられるべきだ。
だがコロナ流行中の開催や、差別発言をした人間が複数関わってきたことを考慮すると、素直な気持ちで応援はできない。
結果だけでなく、プロセスも大事だからだ。
仮に感染を抑えた状態で大会を終えられたとしても、勘違いしてはならない。
分科会の科学的知見を政府が無視し続けて開催を決めたのは、まさに政策の決定過程を軽視した非民主的で不公正な態度である。
また、五輪に起用された人物の差別発言問題が連続したことは、現政権の思想的頽落をありありと物語っている。
そして今大会で最も見たくないものは、一連の問題を感動の嵐で隠蔽する類の国家規模の欺瞞だ。
こうした欺瞞がある限り、日本がメダルを何個獲得しようが、それらはただの土くれと変わらない。
1936年ベルリン大会で活躍した開催国のように、傲慢な国民を生み出すだけにならないことを祈っている――選手たちの健闘とともに。