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リミッターが外れている作品
いろいろと作品を鑑賞していると、作者たちはリミッターをかけて製作しているのだと感じられる。
たとえば怖いシーンでも、怖くなりすぎないように少しユーモアの要素が入っていたりする。
しかし中には、そうしたリミッターが殆どかけられていない作品もある。
ホラー映画では、「エクソシスト」(1973)が完全にそうだ。あれは、どう考えても怖すぎる。公開当時は劇場で失神者が続出したそうだから、実害も出ていると言える。
漫画では、藤子不二雄Aの「魔太郎がくる!!」が該当するのではないか。発表当時の描写が残酷すぎて、その後、何箇所も描き改められたようだ。私は小学5年生のとき第1巻を買って読んでみたが、気分が悪くなり読破できずに捨ててしまった。また、作者自身がアニメ化のオファーを全て断ってきた作品でもある。ただしそれは描写の残酷さというより、「いじめ」というテーマの深刻さに無自覚だったことへの反省からだ、と読んだことがある。
絵画では、会田誠の「犬」シリーズが挙げられよう。性的な過激さ・残酷さのみならず、卑俗さ・卑劣さすら感じさせる衝撃作だ。回顧展での展示には女性蔑視との批判が寄せられ、苦肉の策として「別室」での展示となった。
上述した諸作品と毛色は違うが、音楽に関してはスピッツの楽曲が当てはまる。あまりに素敵すぎるのだ。とくに女性のスピッツファンは、草野マサムネに心酔しきっているように見える。噂ではストーカー被害も存在したという。
ちなみに以前、「表現の不自由展」のようなものに誘われて行ったことがある。集められた展示品が様々なタブーに触れているのは確かだが、単なる誹謗中傷と区別がつかないような代物には惹かれなかった。