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石岡瑛子さん
デザイン関係には疎いので、石岡瑛子さんのことは今年になって初めて知りました。
先週のNHK『日曜美術館 アートシーン』とテレビ東京『新美の巨人たち』で拝見しました。
開催中の回顧展(東京都現代美術館)に合わせたものです。
彼女は最初、広告のデザインで名を馳せたようです。
前田美波里さんを起用した資生堂のポスター(1966)は、たしかに鮮烈で印象的。
PARCOの一連のポスターも印象的ですが、良し悪しの判断は私には難しく感じます。
たとえば、「裸を見るな。裸になれ。」というコピーが入った作品。
アンニュイな表情をした、セミヌードの女性。
これは女性解放なのか、性の安易な商品化なのか?という問題は、石岡さんに限らず永遠のテーマかもしれません(阿木燿子が山口百恵へ書いた歌詞や、マドンナのパフォーマンスとか)。
また、「鶯は誰にも媚びずホーホケキョ」というコミカルなフレーズの広告には、やはりコミカルな表情でコミカルなポーズの女性。
「裸を…」のモデルは白人、「鶯は…」のモデルは黒人という'使い分け'をどう捉えるかについても留意すべきでしょう。
若い頃の作品が挑発的だったのに比べ、後半生のデザインは独自の美学を追究する内省的な姿勢を感じました。
フランシス・コッポラの『ドラキュラ』(1992)の衣装など、実に美しかったです。
映画自体は観ていないので、いつか観ようと思います。
写真は彼女が手掛けた、マイルス・デイヴィス『TUTU』(1986)のジャケット。