隠されたビブラート
最近になって、気づいたことがある。
AKB48の「フライングゲット」(2011)のサビのメロディについてだ。
君の気持ち今すぐ手に入れようか
この最後の「か」の部分のメロディを、一音だとずっと思っていた。
しかし音源をよく聴くと、実際はビブラートのように音程が変化しているのだ。
なぜか非常に気づきにくい。
このビブラートが隠し味になっているとも言える。
ただし、作曲者はビブラートというつもりは無かったかもしれない。
多くのAKB楽曲同様、「フラゲ」の場合も曲が先に出来ていて、それに秋元康が歌詞をつけたと考えられる。
作曲者は先程の「か」の部分のメロディには、三文字ほど歌詞が乗るものと想定していたのではないか。
そこに「か」の一文字だけ乗せてビブラートのようにしたのは、作詞者である秋元康の判断だった可能性が高い。
その結果、「手に入れようか」というキレのあるフレーズと、ビブラートの隠し味とが合わさって絶妙なバランスを生んでいる。
優れた作詞家は、編曲家に似た役割をも果たしているようだ。