助産師あいあいこのプチ相談室「体重ってどれくらい増えていいの?」
こんにちは、あいあいこです。
友人の妊婦さんよりリクエストがありましたので、今回からは数回に渡って「体重」をテーマに記事を書いていこうと思います。
妊娠中の体重管理、不安に思っている方が多いのではないでしょうか?
実は、妊娠中の体重増加については、妊娠前の体格=BMIによって目安が異なっています。
※BMI(ボディマス指数)とは:体重と身長の関係から算出される、ヒトの肥満度を表す体格指数のこと
まずは、自分の妊娠前のBMIからどれくらい妊娠中に体重が増えていいかどうかを計算してみましょう!
★BMIの計算方法
体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)=BMI
ここで用いる身長は、単位がm(メートル)であることに注意してください。例えば、160cmの方であれば、1.6mとして計算をしてください。
また、ここで使う体重は妊娠前の体重です。つわりで減った体重や、今現在の体重ではなく、妊娠前のものということに注意してください。
(例)妊娠前の体重が56kg、身長が160cm(1.6m)の人のBMI
56(kg)÷1.6(m)÷1.6(m)=21.875(約22)
さて、ご自身のBMIは計算出来ましたでしょうか?
では、下の目安に当てはめてみましょう。
★BMIが18.5より小さい人(やせ型)
体重増加の目安:妊娠前から9〜12kg
★BMIが18.5〜25.0未満の人(普通体型)
体重増加の目安:妊娠前から7〜12kg
★BMIが25.0以上大きい人(肥満型)
体重増加の目安:個別対応(目安として+5kg程度)=血圧や採血のデータ、健康状態をみながらお医者さんと相談していきましょう
……と、上記のようになります。
妊娠が40週(10ヶ月)間あるので、ご自身の体重増加目安÷10(ヶ月)をすると、単純に1ヶ月に増えていい体重の目安が見えてきます。例えば、普通体型の方だと、最高12kg÷10(ヶ月)=1.2kgが、1ヶ月に増えていい体重の目安と言えるでしょう。
ただ、27週を超えてくると、赤ちゃん自身の体重が急激に増えますので、27週までは控えめのペースでいくのがいいでしょう。(27週以降になると、大きくなった子宮に胃が圧迫されて、あまりたくさん食べられないようにはなるのですが)
この体重増加、実は少なすぎても多すぎても色んなリスクが生じてきます。
「え?体重増えすぎない分にはいいんじゃないの?あんまり太りたくないし!」という方、結構いらっしゃるのではないでしょうか?
体重が目安より増えないと、赤ちゃんの体重が十分に増えず、胎児発育不全(FGR)や、低出生体重児(生まれた時の体重が2,500g未満の赤ちゃんのこと)のリスクが高くなると言われています。栄養が足りていないのだから赤ちゃんが小さくなるというのは、よくお分かり頂けるかと思います。
また、お腹の中にいる時に長期間低栄養状態にさらされた赤ちゃんでは、様々な臓器、血管への影響により、将来大きくなったときに、生活習慣病(メタボリックシンドローム=2型糖尿病、高血圧、脂質異常症等)を発症する可能性が高くなることも分かってきました。
そして、やせ型の女性については、切迫早産や早産(臨月=妊娠37週までに赤ちゃんが産まれそうになったり、また産まれてしまうこと)、貧血のリスクも高まると言われています。
逆に、体重増加が多すぎると在胎不当過大(LGA)、巨大児(生まれた時の体重が4,000g以上)、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病のリスクが高くなると言われています。
また、赤ちゃんが大きくなりすぎること、産道に脂肪がついて産道が狭くなってしまうことなどから、赤ちゃんが下から出てこられず、帝王切開となる率も上がると言われています。
ですので、増えなさすぎても、増えすぎてもいけない、上記の目安の体重増加を目指すようにしていただけたらと思います。
ただし、体重増加や赤ちゃんの発育は人によって様々。「絶対に〇kgじゃなきゃ!」とこだわり過ぎず、妊婦健診での様子などを踏まえて、お医者さんや助産師と相談しながら過ごしていくのがよいでしょう。
さて、今回はここで一旦終わりにして、次回から「摂取カロリーの目安」や、「妊娠中の運動」について解説していくことにしようと思います。
「こんなこと聞きたい!」「これってどういうこと?」なんていうことがありましたら、是非コメント欄にお寄せくださいませ。
それでは、次回またお会いしましょう!
【出典】
ボディマス指数(Wikipedia):https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ボディマス指数
産婦人科診療ガイドライン-産科編2020(日本産婦人科学会、日本産婦人科医会):https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2020.pdf
病気がみえる 産科 vol.10(第4版)(株式会社メディックメディア)
【画像提供】