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「行け、山田!」

『虎に翼』最終週「虎に翼」第126回、何とこの大事な回に録画失敗してしまった。朝8時と昼12時45分の放送を2回見てはいるのだけど、土曜日のBSでの再放送を録画予約して補完することに……涙。

記事見だしは「服従と従順な女体」にしたかったんだけど強烈すぎるので、視聴者が心で復唱したであろう轟の声援を選んだ。

スポニチがよねさんの最高裁での弁論を再現していたので借りさせていただく。

「虎に翼」轟「行け」→よねさん魂の弁論4分「はて?」「クソ」大法廷に炸裂!ネット涙も「最高の相棒」

1972年(昭和47年)5月、開廷。

よね「論点は、誰の目から見ても分かりきっていますので、回りくどい前置きはしません。刑法第200条、尊属殺の重罰規定は、明らかな憲法違反です。昭和25年に言い渡された、刑法第200条の最高裁合憲判決。その基本的な理由となるのは、人類普遍の道徳原理。はて?」

桂場等一郎(松山ケンイチ)「(よねに視線をやる)」

よね「本件において、道徳の原理を踏みにじったのは誰か。尊属である父を殺した被告人ですか。それとも、家族に日常的に暴力を振るい、妻に逃げられ、娘を強姦し続け、子を産ませ、結婚を阻止するために娘を監禁した、被害者である父親ですか。暴力行為だけでも許しがたいのに、背徳行為を重ね、畜生道に堕ちた父親でも、彼を尊属として保護し、子どもである被告人は、服従と従順な女体であることを要求されるのでしょうか?それが人類普遍の道徳原理ならば、この社会と我々も、畜生道に堕ちたと言わざるを得ない。いや畜生以下、クソだ!」

桂場「弁護人は、言動に気をつけるように」

轟「不適切な発言でした。お詫びいたします。(小声で)行け、山田」

よね「憲法第14条は、すべての国民が法の下に平等であるとし、第13条には、すべての国民は個人として尊重されるとある。本件は、愛する人と出会った被告人が、すべての権利を取り戻そうとした際、父親から監禁と暴力による妨害を受けた結果であります。当然、正当防衛、もしくは過剰防衛に該当する。もし、今もなお、尊属殺の重罰規定が、憲法第14条に違反しないものとするならば、無力な憲法、無力な司法、無力なこの社会を、嘆かざるを得ない。著しく正義に反した現判決は、破棄されるべきです。以上です」

スポニチ「虎に翼」轟「行け」→よねさん魂の弁論4分「はて?」「クソ」大法廷に炸裂!ネット涙も「最高の相棒」

そして、この尊属殺人罪が日本国憲法第14条に照らして合憲かを問うた実在の弁護士の親子(養子縁組だが)二代にわたる戦いについて、インタビューした記事にもリンクを貼りたい。

尊属殺人罪は違憲か合憲か? 親子二代にわたる執念の戦いが日本の裁判史を塗り替えた 大貫正一弁護士ロングインタビュー

「刑法第200条の合憲論の基本的理由となっている『人倫の大本、人類普遍の道徳原理』に違反したのは一体誰でありましょうか。本件においては被告人はその犠牲者であり、被害者こそこの道徳原理をふみにじっていることは一点の疑いもないのであります。親子相姦という如き行為は、古代の未開野蛮時代なら格別、人類が神の存在を信じ長い歴史的試練を経て確立した近代文明社会における道徳原理からみれば、何人とも言えども許すことのできない背徳行為であります。

被害者の如き父親をも刑法第200条は尊属として保護しているのでありましょうか。かかる畜生にも等しい父親であっても、その子は服従を要求されるのが人類普遍の道徳原理なのでありましょうか。本件被告人の犯行に対し、刑法第200条が適用され、且つ右規定が憲法第14条に違反しないものであるとすれば、憲法とはなんと無力なものでありましょうか。弁護人は法曹としてその無力さを嘆かざるをえないのであります。また、もしそうであるとすれば、もはや、刑法第200条の合憲論の根拠は音を立てて崩れ去ると考えられるがどうでありましょうか」

尊属殺人罪は違憲か合憲か? 親子二代にわたる執念の戦いが日本の裁判史を塗り替えた 大貫正一弁護士ロングインタビュー

最終弁論での大貫弁護士の言葉を、よねさんの言葉で簡潔に述べるシナリオに唸るばかり。そして、轟が小声で「行け、山田!」と囁くのも、素晴らしい。この一瞬の視聴者の思いが轟に同調している。

穂積先生が尊属殺人罪に問いかけた疑問が、結実する最高裁判所の大法廷。桂場はどんな言葉で判決を下すのか。どきどき。

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