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へこんだ日に読みたい本

へこんで、いいんだ

シムという女の子とクマという男の子の日常を、優しいイラストと言葉で綴った「へこんで、いいんだ」。
著者が「いつもへこんでいた頃の自分に、大丈夫、と言ってあげたくて書いた」というこの本は、韓国語・英語・日本語の3か国語で書かれている。

表紙の折り返しには(多分直訳すると)「しょんぼりする日もあります。いい日もあります。」と韓国語で書かれていて、裏表紙の折り返しには英語と日本語で「へこんだ日もある。いい日もあります。」と書かれている。
わたしはよくこの部分を読み返しては励まされている。

この本にはふたつの話が書かれていて、
「シムの話」ではシムが「ひとりでいること」に向き合って、
「シムとクマの話」ではふたりの温かい愛が感じられた。

シムの話

「ひとり上手な毎日」「宇宙で一人ぼっちになった気分」という言葉にすごく共感した。この感覚、わたしだけじゃないんだ、と思うとすこし寂しさが和らいで、目頭が熱くなった。
わたしも同じだから。毎日仕事に行ったり、家族や友だちと会ったり、お店に行ったりして人とふれあっているのに、どうして自分一人でぽつんと浮かんでいるような気分になるのか不思議だ。
本当に周りに誰もいなくてひとりぼっちというわけではないのに。
だけどこの寂しさを感じてる人は他にもいて、
もしかしたら誰もが抱えてるものなのかな、と思うと、ちょっと安心する。
ほかにも、シムの日常はひとりでいる時に感じる寂しさに寄り添い、そんな時に自分をかわいがる方法を教えてくれる。

シムとクマの話

「シムの話」が終わってページをめくると、ひとり上手っだったシムとクマがカップルになっていた。
ふたりの日々を通して伝わってきたのは、熱くてドラマチックな愛ではなくて、もっと日常的な愛。
自分が嫌いな自分を好きでいてくれる人、自分を受け止めて、包んでくれる人。ふたりがお互いにとってそんな存在に見えた。

だけど、大好きな人がそばにいて、ひとりぼっちの寂しさは感じなくなっても、へこむ日や未来が不安になる日はやっぱりあって。
お互いに不安や寂しさを抱えながらも、相手のそれを一緒に持ってあげようとする、「大丈夫だよ」と手を握って安心させてあげようとするふたりの愛が素敵だった。



生きていると、へこんでしまう時期が訪れる。そんな時期は、生まれてからずっと辛くて、これからの人生もずっと辛いんだろうとすら思えてきてしまう。
だけど、その時期を抜け出して穏やかな日常に戻り、これまでの日々を振り返っていると、楽しい日もお腹がよじれるまで笑った日もあったことを思い出す。へこんだ日といい日の反復。わたしの人生もそんな感じなのかもしれない。

著者が「いつもへこんでいた頃の自分に大丈夫と言ってあげたくて書いた」というこの本は、わたしの寂しい日には慰めになってくれて、穏やかな日には温かい春の日差しのような優しい気持ちをくれる。
そして、これからもわたしは大丈夫だと思える。ひとりでいてもふたりでいても。


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